建設業に関わる法令の解説。神山和幸行政書士事務所

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令和7年(2025年施行予定)改正建設業法について


令和6年6月7日に、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」が国会で可決・成立しました。改正法は、公布日から1年6カ月以内に完全施行される予定です。
  
この記事では、2025年中の施行が見込まれる建設業法等改正について、従来からの変更点をまとめます。
 
この記事のまとめ
①建設業に従事する人材不足の防ぐという目的
②労働者の確保のための「処遇改善」「資材高騰のしわ寄せ防止」「働き方改革」を実施。
 
1.改正の背景
 建設業は、就労時間が長いのにもかかわらず、賃金が他の産業に比べて低いのが現状です。それにより、建設業の従事者が減少しております。日本建設業連合会の公開資料によれば、2004年での建設業就業者数は584万人であったのに比べて。2023年では483万人となり、20年近くで約100万人減少しております。
 少子化ももちろん要因の一つですが、建設業は我が国の根幹事業の一つである限り、労働者を確保していこうというのが今回の改正目的です。
 
2.労働者の処遇改善
ポイントは以下の通りです。
労働者の処遇確保を建設業者に努力義務
「建設業者は、その労働者が有する知識・技能その他の能力についての公正な評価に基づいて適正な賃金を支払うこと、その他の労働者の適切な処遇を確保するための措置を、効果的に実施するよう努めなければならない」
努力義務のため、罰則は設けられておりません。ただし、国土交通省により「中央建設業審議会」が設置されており、今後「労務費の基準」を作成・勧告する予定です。
 
②不当な見積の禁止
現労働者の「処遇改善」を図るとともに、元請の要請により、不当に労務費などを低く抑える「見積り」を提出することや「見積依頼」を禁止することとなる予定です。

国土交通省では違反発注者に勧告・公表することとしています。
さらに、材料費を下回る「原価割れ契約」の禁止も導入されます。
 
3.資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
 「建設工事を請け負う建設業者は、主要な資材の供給の著しい減少や資材の価格の高騰など、工期または請負代金の額に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、注文者に対して、その旨と状況把握に必要な情報を通知しなければならない」とされました。また資材価格変動時における請負代金等の「変更方法」を請負契約書に記載することが義務化されました。
 実際に資材価格高騰が顕在化した場合は、上記の「変更方法」に従い、受注者が契約変更協議を求めたときには、注文者は誠実に協議に応じる努力義務(公共工事発注者は義務)が課されます。
 
4.働き方改革と生産性向上
 長時間労働を抑制するため、「建設工事を請け負う建設業者の側においても、施工に通常必要と認められる期間に比して、著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない」ものとされました。
 また、ICT活用を前提にしておりますが、「現場技術者」の現場専任義務の合理化を認め、またICT活用による現場管理の「指針」を国が定め、特定建設業者や公共工事受注者に対して、効率的な現場管理に努めるよう定めています。
2024-09-21 17:07:00

建設業法等改正情報


建設業法等において、和歌山県下では様々な改正が行われております。
今回は、主な改正点を抜粋してお知らせいたします。
 
1.建設業法罰則の強化
和歌山県の建設業者(等)の不正行為等に対する監督処分の基準が改正されました(令和4年6月13日施行)。
 
【概要】
①廃棄物が混じっている盛土の発生を防止するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)違反への対応が厳格化された。
※施行前→役員等又は政令で定める使用人が懲役刑に処せられた場合は7日以上、それ以外の場合で役職員が刑に処せられたときは3日以上の営業停止処分を行うこととする。

施行後→役員等又は政令で定める使用人が懲役刑に処せられた場合は15日以上、それ以外の場合で役職員が刑に処せられたときは7日以上の営業停止処分を行うこととする。

(補足)
営業停止期間中は、営業停止を受ける前に請負契約を締結した工事の施工等は行えるものの、新たな請負契約の締結はできないこととなっておりますので、ごらんの皆様には注意喚起を随時よろしくお願いいたします。
  

2.経営事項審査の改正
【概要】
①(令和4年8月15日以降の申請)監理技術者講習の有効期間の延長
加点可能な期間が、「監理技術者講習受講から5年間」→「講習終了の日の属する年の翌年から5年間」となった。
 
②(令和5年1月1日以降の申請)
(1) ワーク・ライフ・バランスに関する取組を加点対象に追加
(2)加点対象となる建設機械の追加
→従来土砂の運搬が可能な大型ダンプ(最大積載量5t以上)に限定されていたものが撤廃された他、振動ローラ、高所作業車(作業床の高さ2メートル以上)、解体用掴み機等が新たに追加された。
(3)エコアクション21を加点対象に追加
※ただし、ISO14001との重複は不可。
(4)建設業の経理の状況の改正に係る経過措置の終了(令和5年4月1日以降の申請)
→平成29年3月31日以前に登録経理士試験に合格した者についても、令和5年3月31日までに登録経理士講習実施機関に登録されることが要件になる(「登録経理講習」を受講しかつ試験に合格しなければ、評価対象外)。以下、経営事項審査においては登録経理試験の合格後5年を経過した者は有効期限内に「登録経理士講習」を受講しなければならない。
 
3.建設業許可及び経営事項審査等の電子申請受付開始について
 和歌山県では、令和5年1月中旬予定で上記申請等の電子申請も可能となります。
 なお、電子申請開始後も、審査手数料は県証紙による支払いであり(電子納付を開始する際には県HP等で発表予定)、許可通知書・総合評定値通知書の発行も、従来通り紙の通知書等を発行する予定です。
 また、当面は紙での申請等も可能としております。

※一部、ホームページ内の記事が古いままになっておりますので、ご注意ください。
 
2022-12-03 14:51:55

建設業許可・経営事項審査の電子化について


国土交通省では、2023年1月より、建設業許可・経営事項審査の電子化が始まる見込みとなり、それに向かって実務者会議が開催されています。

建設業許可・経営事項審査電子申請、令和4年8月時点のイメージ

(国土交通省資料より抜粋)

建設業許可のみならず、各種変更届、決算報告、経営事項審査については、総合評定値通知書も電子通知になる見込みです。
なお、これはあくまでも国土交通省の検討内容ですので、変更の可能性もありますので、ご了承ください
 
2022-08-20 15:13:05

令和4・5年度入札参加資格(県内建設業)審査における「独占禁止法遵守体制整備」について



 「独占禁止法遵守体制整備」を格付けの例外措置の要件に追加

 和歌山県の「令和4・5年度入札参加資格(県内建設業)」より、土木・建築・電気・管において、総合点数がAランクの基準点数に達していても、「独占禁止法遵守体制整備」に加点がない場合には、Aランクになれないものとすると発表されました。現在、Aランクの事業者様の「独占禁止法遵守体制整備」に加点がない方は特に注意が必要です。
 
1.独占禁止法とは?
 独占禁止法の目的は、「企業の公正かつ自由な競争を促進」することです。
一部の企業が市場を独占し、自由な競争が行われなくなり、事業活動が停滞してしまう、そうならないために、この法律は重要な意味を持ちます。
 以下の6つが規定されています。
①私的独占の禁止
②不当な取引制限(カルテル、入札談合)の禁止
③不公正な取引方法の禁止
④企業結合(合併、株式取得など)の規制
⑤独占的状態の規制
⑥事業者団体の規制

 建設業においては、公正取引委員会は主に以下の行為を独占禁止法違反の行為として監視しています。
ア.事業者団体などによる入札談合
イ.下請け業者に対する優越的地位の濫用
 
2.独占禁止法の遵守体制の整備
 以下、ポイントを整理してみます。
①「独占禁止法遵守マニュアル」の整備
②マニュアルを用いた社内・社外研修の実施
③社内監査体制の整備
④社内通報専門部署の設置


2021-11-29 18:18:40

「監査役」の就退任について


役員等の変更があったら、30日以内(常勤役員の変更があった場合は2週間以内)に届け出なければなりません。
この「役員等」とは、「法人の役員、顧問、相談役または総株主の議決権を有する株主もしくは出資の総額の100分の5以上に該当する出資をしている者」です。
従って、「監査役」はこれに含まれません。

ただし、産業廃棄物収集運搬業、宅建業、運輸業等は「監査役」も役員に含まれてますので、注意が必要です。

建設業と産業廃棄物収集運搬業の許可を両方とも持っている法人は特に気をつけてください。




2021-06-09 19:32:18

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