建設業許可の要件である専任技術者ついて

建設業の技術者について

いわゆる「技術者」の定義について

1、営業所の専任技術者(建設業法にいう「専任技術者」)
このページにいうところの「専任技術者」を指します。

2.現場の専任技術者(建設業法にいう「現場の配置技術者」)
下の欄をご覧ください。

つまり、専任技術者には、「営業所の専任技術者」と「現場の主任(配置)技術者」の2つが存在します。ここでは、専任技術者とは、建設業許可要件である「営業所の専任技術者」を専任技術者といい、現場の主任(配置)技術者と使い分けております。



現場に配置する技術者

主任(配置)技術者については、以下のような定義があります。
 
1.主任(監理)技術者として、相応しい資格等を持っている。
→相応しい資格は原則として、専任技術者に必要な資格と同一です。ただし、特定建設業の監理技術者として建設工事に専任で携わるには、監理技術者資格者証の交付を受け、かつ、監理技術者講習を修了していることが必要です(後述)。
工事現場においては監理技術者証の携帯が義務づけられ、発注者の請求があったときは提示しなければなりません。

2.配置条件
詳細は本ページの「営業所への専任とは」参照。




専任技術者の設置

建設業許可の要件・専任技術者の配置

営業所ごとに以下の(ア)~(ウ)要件に当てはまる専任の技術者を配していなければなりません。ただし、経営業務の管理責任者が、専任技術者の資格要件をも備えている場合、これらを兼務することができます。
◎専任技術者要件
(ア)許可を受けようとする業種に関して、別に定める国家資格を有する者
(イ)高等学校等(または大学等)で、許可を受けようとする業種に関連する学科を卒業して、5年(または
      3年)以上の実務 経験を有する者
(ウ)許可を受けようとする業種に関して、10年以上の実務経験を有する者
 国家資格を有する者のうち、その資格以外にも一定の実務経験が必要となる場合があります。なお、専任技術者として認められるのは上記のみです。同じ国家資格であっても、上記(ア)の表に記載されていない資格では認められません。
 例えば、1(2)級建設機械施工技士は、土木一式工事・とび土工コンクリート工事・舗装工事の専任技術者として認められますが、これに名称が類似している「1(2)級建設機械整備技能士」という国家資格では、どの業種においても専任技術者としては認められません。

営業所への専任とは

建設業許可の要件・専任技術者の「専任性」

 ここでいう「専任」とは、その営業所に常駐して専らその職務に従事することであり、「常勤性」「専任性」の担保が必要です。
 従って、専任技術者は原則として工事現場で配置しなければならない「主任技術者」にはなれないことになります。
 ただ、そうすると個人事業や一人親方の場合、事実上主任技術者は配置できなくなってしまい、多大に不都合となります。
 
 そこで、この場合なら専任技術者と主任(配置)技術者を兼ねることができます。

①当該営業所で請負契約がなされた工事であること。
②工事現場に従事しながら営業所での職務にも従事できそうな近接した距離であり、常時連絡を取り合うことができる体制となっていること。
③当該工事が主任技術者等の工事現場への専任を要する工事でないこと(詳しくはこちら)。
④工事一件の請負金額が 3,500 万円未満(建築一式工事は 7,000 万円)未満の工事であること。


 上記③はだいたいですが、営業所へ日帰りで帰ってくることが可能な範囲です。それ以上の距離の場合は個別に判断されることになっています。

※なお、複数の許可業種をお持ちの建設業様がそれぞれ異なる専任技術者を選任している場合は、その技術者は専任技術者になっていない業種における建設工事についても上記と同じ扱いとなります。
例えば、建築工事と大工工事の2つの許可を持ち、建築工事にはA技術者が専任技術者、大工工事にはB技術者が専任技術者となっている場合、A技術者は大工工事の専任技術者はなっていませんが、A技術者もB技術者も同じく専任技術者なので、営業所に常駐していることが原則となります。


実務経験を証明するには

上記の専任技術者要件(イ)か(ウ)に該当する方は、、実務経験証明書に該当する期間の実務経験を記載します。
実務経験については該当する期間((ウ)の場合10年間)で1業種だけ認められるので、2業種以上申請される場合は、それぞれの実務経験の期間が重複していないことが必要になります。

 また実務経験については、次の確認書類が必要となるとともに以下の点に注意が必要です。
①実務経験の内容を証明するもの
 ア.証明者が建設業許可を有している期間については建設業許可通知書又は建設業許可申請書副本の写し
 イ.証明者が建設業許可を有していない期間については主要工事の請負契約書、工事請書、注文書等の写しを必要となる年数分
 ※一年度につ き代表的なもの1件以上必要となります。たとえば、10年の経験で専任技術者になろうとする場合、原則、工事10件分は必要です。  
 ※経験年数については、原則として片落としで数えます。たとえば、「12年5月から12年9月まで」という期間の場合、5ヶ月ではなく4ヶ月と数えます。
 ※建設業許可を持っていない個人又は法人での経験を証明される方については、請負代金の額が税込で500万以上(建築一式工事の場合1,500万円以上)である場合、建設業法第3条に違反しているので、実績として認められません。

②実務経験証明期間の常勤を確認できるもの(以下のうちいずれか)
 ア. 健康保険被保険者証の写し(事業所名と資格取得年月日の記載されているもので、引き続き在職している場合)
 イ. 年金加入期間証明書又は被保険者記録照会回答票
 ウ.住民税特別徴収税額通知書の写し(期間分)
 エ.確定申告書(個人事業主の場合。受付印押印のものを期間分)  
 オ.その他、常勤が確認できるもの(源泉徴収簿、給与台帳など)

 ③証明者の印鑑の印鑑証明書の写し・・・個人事業主が証明する場合はその個人の、法人が証明する場合はその代表者印であること。

※「その他常勤が確認できるもの」・・・ア~エですべての期間が証明できない場合、法的に認められた書類として、源泉徴収簿(賃金台帳)があれば一応の常勤性確認書類となります。それもない場合、出勤簿、金融機関取引明細など複数の書類を使い証明するしかありません。なお、源泉徴収簿は7年間の法定保存義務があります。

※「実務経験」は連続している必要はありません。通算で必要年数があれば認められます。


以前勤めていた会社から証明してもらえない場合

以前勤めていた会社に実務経験を証明してもらいたいとき、そのある事情で証明ができない場合があります。
その場合には、自己証明する必要があります。
実務経験証明書の下欄に証明してもらえない理由を記載したうえで、例えば会社が倒産してしまい、もはや存在しないという事情があり、ぞの会社が社会保険に加入していた場合は、「被保険者記録照会回答票」により、常勤性を確認できる方法もありますので、そのような事情がある場合は当事務所へご相談ください。

ただし、その勤めていた会社と喧嘩別れするなどで関係が悪化していた場合、単に意地悪で証明できないというだけでは認めてもらえない可能性がありますので、そのような事情をお持ちの方も当事務所へご相談ください。


特定建設業における監理技術者要件

特定建設業許可の現場主任者「監理技術者」

特定建設業の許可業者による特定建設工事の場合の「主任(配置)技術者」は「監理技術者」のみです。
監理技術者は、以下の要件が必要です。

①国土交通大臣が定める試験に合格したものに限られます(1級施工管理技士、建築士等)。指導監督的実務経験(4,500万円以上の元請工事を24月以上現場主任者、現場監督者として従事したことを証明)を有する技術者、国土交通大臣認定された者等でも可能です。
指定建設業(土木、建築、電気、管、鋼構造物、ほ装、造園)の場合は、指導監督的実務経験による技術者を専任させることはできませんのでご注意下さい。

特定建設業許可を要する工事の主任(配置)技術者になるためには、上記①に加えて、「監理技術者資格者証」の交付を受け、かつ、「監理技術者講習」を修了していることが必要です。
※「監理技術者講習」には有効期限があり、「講習修了の日の属する年の翌年から5年間」となっております(令和4年8月より適用)。

※このページ上段にあるように、現場主任者として監理技術者を常駐させる義務がありましたが、本年の改正施行により、「技士補」を専任させることで2つまで現場を兼任できるようになりました(この監理技術者を「特例監理技術者」といい、複数の工事現場を兼任することができます。現行ではこの「複数」とは2つまでです。)。
※一級施工管理技士補(技士補)は、一級施工管理技士を補佐する資格で、一次検定試験に合格することで取得することができます。
所定の大規模な工事現場には、本来、監理技術者を専任で置かなければなりませんが、技士補を置くことにより、監理技術者は2つの現場を兼任できることになります。
また、技士補は二次検定試験に合格することにより、いつでも一級工管理技士になることができます。