建設業許可要件である経営業務の管理責任者について。神山和幸行政書士事務所

経営業務の管理責任者

経営業務の管理責任者の概要

建設業許可を取るために、重要な要件として「経営業務の管理責任者」です。

経営業務の管理責任者を簡単に言い換えると、「建設業を営む上で、経営者としてしっかりとした経験がある者」のことです。
「経営者としての経験」と一口に言っても、例えば運送社の社長としての経験、では不十分です、建設業の許可を取りたければ、建設業の経験がやはり必要となります。

このように、経営業務の管理責任者とは、「建設業の経営に関する一定以上の経験を有する者」であるこ必要があります。

建設業許可を取得するためには、許可を受けようとする者が法人である場合には、常勤の役員のうちの一人が、また、許可を受けようとする者が個人である場合には、本人または登記された支配人のうちの一人が、次のいずれかにあてはまることが必要です。

もし、経営業務の管理責任者の要件に満たないときは・・・

特に個人事業主で建設業を営んでおられる方は、後述の通り、一定の期間個人事業主として確定申告を行っている必要がありますが、あくまでもメインが「事業収入」である必要があり、「給与収入」の方がメイン(つまり、事業収入≦給与収入)の場合、副業として個人的な建設工事を請け負っていたと判断される可能性があります。そうなると、経営業務の管理経験としては認められません
この場合は、かつて建設業社(者)で経営業務の管理責任者の経験のある方を支配人にお迎えするなどの対策を講じる必要があります。

「経営業務の管理責任者」の要件

営業務の管理責任者として認められる方は以下のような方です。
なお、改正により、経験の対象となる業種は問われません。
例えば、「建築一式工事」の経営業務の管理責任者の経験が2年、「管工事業」の経験が3年であれば、下記ア.の経験として認められます。

常勤役員等のうち1名(建設業法第7条第1号イ)
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者(権限のある執行役員など)
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者


※「経営業務の管理責任者に準ずる地位」とは、具体的に(a)個人と(b)法人について次の通りです。

(a)個人の場合

 個人事業主、支配人に次ぐ職制上の地位にあり、かつ、個人事業主の配偶者、子等三親等以内の血族か姻族である人(個人事業主の引退・死亡に伴うことを要件としない)

(b)法人の場合

 役員に次ぐ職制上の地位(部長,営業所長等に次ぐ地位)にあった者のうち、資金の調達、下請業者との契約の締結等の経営業務に参画していた者であり、常勤であった人
 なお、要件2.の「支配人」というのは、具体的には支配人として登記されていなければなりません。



新たに加わった新・経営業務の管理責任者の要件

エ.建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当する者に限る。)としての経験を有する者
オ.5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者

以上のエ・オについては、「許可の申請を行う建設業者において5年以上の、財務管理の業務経験、労務管理の業務経験、及び業務運営の業務経験を有する者(各業務経験を1人が兼ねても、それぞれ業務経験を有する者を置いても良い。)」といういわゆる「常勤役員等を直接に補佐する者」を置く必要があります。

◎常勤役員等(経営業務の管理責任者を含む)に必要な経験に関して、これまで土木工事業等の業種ごとに数えていましたが、令和2年10月1日以降受付の申請に関しては建設業全体で数えます。
→これまで不可能だった土木工事で2年、管工事で4年のような場合でも5年以上の経験年数の要件を満たせます。

ここでいう財務管理とは「建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどを行う部署におけるこれらの業務経験」のことであり、労務管理とは「社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きを行う部署おけるこれらの業務経験」のことを指します。なお、建設業許可申請にかかる経験は許可申請業者に限ります(つまり、他社等の経験は認められません)。




「経営業務の管理責任者」経験の証明書類

営業確認書類・常勤確認書類

1営業確認書類
①確定申告書控
紙媒体による申請の場合は、受付印があるもの。電子申請の場合は、税務署に受付けられた旨が確認できるもの受信通知「メール詳細」など)を添付。
 
②工事請負契約書・注文書・請求書・見積書・工事台帳等(建設業に係る工事実績等を十分確認できるもの)

2常勤確認書類
A申請時の常勤を確認する場合
① 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
※証明しようとする方がこれに記載されていない場合は、「健康保険被保険者証(写)」あるいは「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」
② 雇用保険被保険者資格取得届
 
B該当期間の常勤を確認する場合
①健康保険被保険者証(写)
その証明しようとする方が申請時も在職していて、「事業所名」及び「資格取得年月日」 が記載されているもの
②確定申告書控(1の①と同様)
(補足)法人の役員の場合は、「表紙」と「役員報酬明細」も持参。
 


証明書類概要

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