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農業振興地域の整備に関する法律

地域計画について

農地転用の許可を申請する際に、その対象農地が農業振興基盤強化促進法に定める「地域計画」の区域である場合、その地域計画の変更(除外)手続が必要となります。簡単に申し上げれば、上記区域の農地を除外するときは以下の流れとなります。
①地域計画からの除外
②農用地区域からの除外(農用地区域内農地の場合)
③農地転用許可申請
以上のように、「地域計画からの除外」手続が一つ増えるということです。
地域計画の策定は各市町村が令和7年3月31日までに完了すると定められております(下図参照)ので、その対象農地が「地域計画」内区域であるがどうか、市町村に確認する必要があります。


地域計画策定までの流れ
※下図フローチャートの通り、地域計画区域内でかつ農用地区域である場合、さらに申請期間や費用が掛かることが見込まれます。
地域計画からの除外(変更)手続の詳細は現時点では不明です。ただ、今後はお見積依頼の場合、まず対象農地所在地のある市町村に、その対象農地が「農用地区域」と「地域計画区域内」に含まれるかどうかの調査が必要となりますので、ご留意ください。
※なお、当事務所へのうちに関するご相談については、こちらをご覧ください。


地域計画と農振除外・農地転用許可申請の手続について

(参考図 農林水産省、和歌山県HPより抜粋)

関係法令
農業経営基盤強化促進法🄱 第十九条
農業振興地域の整備に関する法律 第十三条
農地法第4条第6項、同法施行令第八条の二、同法施行規則四十七条の三の二

転用申請農地を農用地区域から除外するには

農用地区域内の農地を転用するためには、農用地区域からその農地を除外(農振白地に)した上で農地法による転用許可を受ける必要があります。
転用農地を農用地区域から除外するためには、農業振興地域整備計画のうちの農用地利用計画を変更しなければなりませんが、これは転用許可申請に基づいて行われるのではなく、市町村が都道府県知事の同意を得て行います。
この計画の変更は5年ごとに実施される基礎調査の結果等により行われますが、転用希望者からの要望によって変更する場合もあります。
この除外には除外基準があります。


1.6要件(令和5年4月1日より施行)
 [1]農地以外にすることが必要かつ適当であって、農用地区域外に代替できる土地がないこと。
 [2] 地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがないこと。
 [3]除外により、土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと。
 [4]効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないこと
 [5]除外により、農用地区域内の土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと。

 [6]農業基盤整備事業完了後8年を経過しているものであること

2.農振除外後、転用されることが確実と見込まれること。
 [1]農振除外後、すみやかに申出目的どおりに使用と認められること。
 [2]申出目的どおりに使用するために法令等の許可等が必要な場合は、許可等の見込みがあること。
 [3]農業等に対する支障がないものであること。 など

土地改良区について

土地改良区とは?

農地転用許可申請の添付書類として、「土地改良区からの意見書」というものがあります。
 
土地改良区を簡単に説明すると、「農家が集団で主に稲作を続けるために必要な水路や農道を管理・維持する」地域のことを指し、結成するには都道府県知事の認可が必要となります。

具体的には、
①かんがい排水、ほ場整備、農道整備等の農業生産基盤の整備を行う事業
②水質保全、たん水防除、国営造成施設管理等の農村の保全と管理を行う事業
を集団で行う団体を指します。

土地改良区に含まれる農地(主に田)は、「受益地」と呼ばれますが、土地改良区の構成員は、上記事業を行うための費用を出し合って、運営しています。
土地改良法では、国による事業、都道府県による事業、農協による事業も規定されています。

土地改良区を含む農地転用ついて

その受益地を転用するには、区長・隣接農地所有者・水利組合からの同意とともに、「土地改良区」にも意見書を求めねばなりません。
団体から脱退するためには「決済金」を納める必要があります。決済金とは、農地以外の土地となっても、引き続き水路等の管理をしてもらうための資金となります。

農地転用をご検討中の方には、まずその農地が土地改良区の受益地になっているかどうかご確認ください。
特に農地を相続した方が転用をご検討する場合は注意が必要です。
決済金は数百円/㎡であり、かなりの金額となります。

(参考)水利組合への決済金

 地域には、土地改良区以外に、独自の水利組合が存在している場合もあります。水利組合には、別個の清算金などを求められる場合があります(清算金を支払う必要のない地域もあります)