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相続税対策

「相続」が「争族」にならないよう、また相続が負担の重いものとならないようにするためには、ご家族皆さんで準備を進める必要があります。ここでは「相続税」に対する対策をご紹介しますので、ぜひご参考にしてください。

※当記事は平成28年11月15日のものです。当事務所としては正確性に努めていますが、あくまで参考にお読みください。


財産評価の引き下げ対策

 ここでは「節税(財産評価の引き下げ)対策」をご紹介いたします。

国税庁によって示された指針である「財産評価基本通達」を基に、土地の評価額を引き下げる方法です。

1.居住用または事業用宅地の購入による引下げ

 土地(自用地)の相続税評価額は、公示価格の約80%程度であるとされています。

 例えば預金1億円をそのまま保有している場合と、1億円の土地を購入した場合を比較してみると、土地の場合の相続税評価額は8千万円ということになります。 このように、預金をそのまま持っているよりも、土地を購入した方が、相続税上では有利ということになります。


2.小規模宅地等の特例の活用による引下げ

 小規模宅地等の特例とは、一定の条件を満たした宅地について、「一定の地積」において、「一定の割合」で評価を減額することができるという制度です。

 

①特例の適用対象となる宅地

  被相続人または被相続人と生計を一にする親族の事業の用、または居住の用等に供された宅地です。

  また、相続税の申告期限までに遺産分割が終了している宅地でなければなりません。ただし、申告期限後3年以内に遺産分割協議が成立した場合には、この特例の適用を受ける旨の申告書を提出し、適用を受けることができます。

 ※小規模宅地等の特例の結果、相続税が0になる場合でも申告が必要です。


②減額対象となる地積と減額割合

 利用状況

 被相続人要件

 相続人

要件

 適用対象宅地

 減額対象地積

 減額割合

居住用

あり

配偶者以外あり

特定居住用宅地等

240㎡

80%

事業用

あり

あり

特定事業用宅地等

400㎡

80%

特定同族会社事業用宅地等

不動産貸付用

あり

あり

不動産貸付用宅地等

200㎡

50%


③特定居住用宅地等の適用要件

 次の要件のいずれかを満たしている必要があります。

 ・その宅地を配偶者が取得する。

 ・その宅地に被相続人と同居していた親族がその宅地を取得し、申告期限まで引き続き所有し、かつ 居住を続ける。

 ・被相続人の配偶者も同居相続人もいない場合で、相続開始前3年間にマイホームに居住したことのない親族がその宅地を取得し、申告期限まで引き続き所有する。

 ・被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用に供されていた宅地を、その親族が取得し、申告期限まで引き続き所有し、かつ居住し続ける。

 

④特定事業用宅地等の適用条件

次の要件のいずれかを満たしている必要があります。

 ・被相続人の事業を引き継ぐ親族が、その宅地を取得し、申告期限まで引き続き所有し、かつその事  業を営んでいる。

 ・相続開始前からその宅地で事業を営んでいた被相続人と生計を一にする親族が、その宅地を取得し、申告期限まで引き続き所有し、かつその事業を営んでいる。


※「被相続人等が、発行済み総数50%超の株式等を所有する特定同族会社用宅地で、申告期限までにその会社の役員である親族が取得し、申告期限まで引き続きその会社の事業の用に供している」場合、特定同族会社事業用宅地等に適用されます。


3.賃貸建物の建築による引下げ

「貸家建付地」の評価が変動することを利用し、アパートや賃貸マンションを所有地に建築し、土地の評価を引き下げる方法があります。ただし、建築費用などの投下資金も大きく、リスクも伴います。

贈与を利用した相続税対策

 生前贈与を利用して相続後の負担を軽減する方法をご紹介します。


1.生前贈与の活用

 まず、贈与税の基礎控除額(毎年110万円)を利用する方法があります。例えば、配偶者や子に対して、基礎控除額以内の贈与を毎年繰り返すことで、相続対象となる財産を減らすことで、相続税を軽減することができます。この生前贈与を利用するにあたり、注意すべき点は「定期贈与だとみなされないようにする」ということです。

 税務署より定期贈与であるとみなされると、贈与開始より遡って贈与税が課される可能性があります。そうならないためには、毎年「贈与契約書」を作成すること、贈与時期をバラバラにすること、110万円以内で金額を変えることなどの対策が必要となります。


2.贈与税の配偶者控除の特例の活用

 配偶者から、居住用の不動産、あるいはその購入資金の贈与を受けた場合は、贈与税の基礎控除とは別枠で、2000万円の配偶者控除を受けることができます。

 この特例を適用するための条件は以下の通りです。

 ・婚姻期間が20年以上であること。

 ・控除は一度のみ。

 ・贈与の年の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、かつその後も居住する見込みであること。


3.相続時精算課税制度

 父の母それぞれから2500万円までの生前贈与について贈与税が非課税となる制度です

この制度を選択した場合、贈与者の相続発生時にはその贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算し、贈与時に支払った贈与税額(2500万円を超える金額の贈与があった場合に、その超える部分に対してかかった贈与税額)があれば、相続税額から控除して精算することになります。

 この制度は贈与税も相続税も節税することができるメリットがあります。 

 この制度を適用するための条件は以下の通りです。

 

 ・贈与者は65歳以上の親(ただし、住宅購入等の資金の贈与を受ける場合は問わない)

 ・受贈者は20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人も含む)


 ※この制度を一度選択すると、以後その贈与者からの贈与については相続発生まで継続適用され、途中で取り消すことができません。


養子縁組を利用した相続対策

お子さんのおられないご家庭なら2人、お子さんのおられるご家庭は1人まで、相続人となることができる養子を迎え入れることで、相続税の基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)や生命保険金等の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を増やすことになり、課税される遺産の総額を引き下げることができます。これは、具体的にはお孫さんの一人を養子にすることなどが考えられます。


その他、「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」や「教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置」などを利用することにより、節税することができます。