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遺言執行者について

遺言執行者とは

この記事のまとめ
①遺言執行者とは

 遺言の内容をスムーズに実現するために選任が必要な人。
②遺言執行者が必要なケース
 ・「遺言による認知」「推定相続人の廃除・取り消し」には必ず必要。
 ・相続人以外の人に遺贈する場合は選任が理想的。
 ・遺言とは異なる遺産分割を防ぐ。 


1.遺言執行者を選任する意義

 (平成30年度の民法改正により、遺言執行者の権限が「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。(民法1012条)」となり、「遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。(民法1015条)」と明確化されました。)

遺言執行者とは、遺言者の最終意思を実現させることが職務であり、法律上では「相続人の代理人」とされています。遺言は、そのままですと、相続人全員が同意した上で遺言書の内容とは異なる遺産分割協議を行う余地があり、遺言者からみれば、遺言の内容を確実に実現するためにも遺言執行者を指名しておくことは大きな意義があります。行方不明の相続人がいる場合には、その人のために財産管理人を家庭裁判所に選任してもらわなければ手続を進めることができません。また、相続人以外の人に遺贈する場合にも手続が必要ですが、相続人に確実に実行してもらえるかも不安です。
以上のようなケースを防ぐためにも、遺言書には遺言執行者を定めるとスムーズに相続内容が実現できるのです。
また、法律上、「遺言による認知」「推定相続人の廃除・取消し」には遺言執行者が必要です。

相続財産の早期の処分、および相続内容の実現のため、遺言執行者の指定・選任は是非行って下さい。 遺言執行者は未成年および破産者を除き、誰でもなることができます。

 しかし、様々な手続の必要がある場合には、弁護士、税理士、行政書士などの専門家に依頼する方が望ましいですが、どうしても他人に任せたくない内容の事案には友人などに遺言執行者になってもらいましょう。複数の遺言執行者を選任することが可能ですので、うまく組み合わせるのも方法のひとつです。


2.遺言執行者の職務

 
 遺言執行者は相続財産の管理、その他遺言の実行に必要な一切の行為の権限を持ち、相続人といえども遺言執行者の職務を妨害することはできないこととされ、相続財産の処分などができません。つまり「相続人の代理人」なのです。
 遺言執行者が最初にしなければならないことは、検認が必要な遺言については、家庭裁判所に検認の申立てをし、相続人またはその代理人の立会いのもとで開封します。次に遺言書の有効性の検討をし、有効性が確認され次第、財産の証書等を預かったうえで財産目録を遅滞なく調整しなければなりません。

  遺言執行者の職務は大まかに次の通りです。


①認知
 遺言認知は、遺言執行者の就任の日から10日以内に認知の届をしなければなりません。
②推定相続人の廃除・取消し
 遅滞なく家庭裁判所に廃除の請求をしなければなりません。 
③財産
 特定物または財産権については所有権その他の権利自体は遺言によって当然に受遺者に移転するものと考えられますが、対抗要件を備えるために、その者の引き渡しや移転登記などの手続を行います。また債権の取立てや借金など債務の弁済は当事者として実行します。不動産などに不法占有者がいた場合などは明け渡しを求めたり、訴訟となった場合は遺言執行者自らが原告となったり被告となったりします。
④遺言執行者就任の通知
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならず、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません。
⑤財産目録作成
遺言執行者は、直ちに相続財産目録を作成し、相続人に通知する義務があります。


3.費用

 
 遺言の執行に関する費用は、相続財産から支払われます。
 遺言の執行に関する費用には、遺言書検認申請の費用、相続財産目録作成の費用、相続財産を管理する費用、遺言執行者に対する報酬、遺言執行に関連する訴訟費用などがあります。
 遺言執行者の報酬は、遺言で定めることができ、遺言に報酬の定めがない場合には、家庭裁判所が、相続財産の状況やその他の事情を考慮して定めることができるとされています。



4.遺言執行者の解任


 遺言執行者がその任務を怠ったときやその他正当な事由があるとき、家庭裁判所に対してこの解任を請求することができます。  
 請求できる人はその遺言の執行に法律上の利害を有するすべての人です。具体的には相続人(遺言によって認知された子も含む)や受遺者、共同遺言執行者、遺産債権者、受遺者の債権者及び相続人の債権者が含まれます。