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遺言(指定分割)と遺産分割協議書(協議分割)、どちらが優先?

 相続のご相談の中で、よくある相談です。
「父が亡くなり、相続手続を進めていたのだが、弟が納得せず、話し合いは暗礁に乗り上げてしまった。そのうち、遺言書が見つかり、思わず検認の手続を取らずに開封してしまった、遺言書は無効なのか?」

 まず、自筆証書遺言は検認の手続を取らずに開封した場合、遺言としては無効となります(詳細はこちらのページ後半を参照)。

 ただ、個人の遺志はわかっているので、その内容を基準にして、通常の遺産分割手続を進めるのも、遺産分割協議を円滑に進める一つの方法ですと。
 そこで問題。仮に、自筆証書遺言を、検認の手続を取った上で有効とした場合、遺産分割協議は無駄になるのでしょうか?

遺言(指定分割)と遺産分割協議書(協議分割)、どちらが優先?

1.遺言と遺産分割
 
 遺言とは、「お亡くなりになられた人が生前に遺産の分割方法を指定する」文書のことです。詳細はこちらで解説しますが、有効な遺言により遺産分割の方法を指定すると、通常はその方法に従って遺産分割が行われます。

 
 それに対して、遺産分割とは、詳細はこちらで解説しておりますが、相続になられる人が全員で話し合い、全員が納得した上で遺産分割協議書などにより、相続人全員が同意します。
 
2.どちらが優先されるのか
 
 通常では、遺言書が有効であれば、そちらを優先します。

 ただし、「話し合いによる遺産分割に、相続人全員が同意している」のであれば、協議分割が優先します。
 
3.遺産分割協議後に遺言書が発見されたら?
 
 では、「遺産分割協議により相続人全員が納得した後に、遺言書が発見された」ときはどうするのでしょう?

 遺産分割協議により、相続人全員が納得していたので、遺産分割協議が優先されると思うでしょう。ただし、それには問題があります。なぜなら、「遺言は遺産分割協議に優先する」からです。
 
 例えば、遺言書により、相続人の一人を廃除する旨が書かれていた場合や遺産分割そのものを指定期間禁止する内容が掛かれている場合、特に注意するのは、遺言執行者が選定されている場合などです。
 以上、相続人全員が同意したとしても、遺言が有効であれば、そちらを優先する必要があります。