相続とは?
相続は、人が亡くなったときに発生します。 遺言書がある場合とない場合に大別されます(詳細はこちら)。 遺言書がない場合は、改めて遺産分割協議を行うか法定相続の規定に従って遺産を分けることになります。「法定相続」は民法に定められていますが、遺産分割協議で法定相続とは異なる遺産分割を行っても構いません。

相続の種類
相続人は相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に以下のいずれかを決める必要があります・ ①単純承認・・・これはそのまま遺産分割協議に入ることを認めることです。従って、負の遺産(負債、借金)も相続することになります。 ②限定承認・・・負の遺産を相続財産の限度で支払うことを条件とし、相続することです。 限定承認は、相続人全員が共同して意思表示をする必要があります。上記期間内に財産目録を調製し、相続人全員で被相続人の住所または相続開始地の家庭裁判所に申述する必要があります。 ③相続放棄・・・相続をしないという意思表示のことです。 限定承認のように上記期間内に被相続人の住所または相続開始地の家庭裁判所に申述する必要がありますが、単独で行うことができます。
よく勘違いされる方がいらっしゃいますので、あえて申し上げますが、「相続放棄」したと意思表示をしても、家庭裁判所にて申述の手続をしないと、そのまま単純承認と同じ結果になります。(遺産分割協議上で協議できますが、負債も相続対象になります)。
相続人になるのは誰?
相続人になる人は、法律(民法)でしっかりと定められています。これを「法定相続人」といい、亡くなった方(被相続人)との関係性によって、常に相続人になる人と、順位に従って相続人になる人が決まっています。ここでは、誰が相続人になるのかを、パターンに分けてわかりやすく説明します。
👨👩👧👦 相続人の決定パターン
法定相続人は、「配偶者」と「血族(血のつながりのある親族)」に分けて考えます。
1. 常に相続人になる人:配偶者
亡くなった方の配偶者(夫または妻)は、血族相続人の順位に関係なく、必ず相続人になります。
- ただし、法律上の婚姻関係にあることが条件です(内縁関係や事実婚では原則として相続人になれません)。
2. 順位によって決まる人:血族相続人
配偶者がいる場合は、配偶者と一緒に相続します。配偶者がいない場合は、以下の第1順位から第3順位までの順番で、もっとも順位が高い人が相続人になります。
🥇 第1順位:子(と、その代わりの人)
- 故人の子が最優先の相続人です。
- 子がすでに亡くなっている場合は、孫が代わりに相続人になります(これを代襲相続といいます)。
🥈 第2順位:直系尊属(父母や祖父母)
- 第1順位の人が誰もいない場合に、故人の父母や祖父母(直系尊属といいます)が相続人になります。
- 父母も祖父母もいる場合は、存命のうちでより故人に近い世代(父母)が相続人になります。
🥉 第3順位:兄弟姉妹(と、その代わりの人)
- 第1順位と第2順位の人が誰もいない場合に、故人の兄弟姉妹が相続人になります。
- 兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子(甥や姪)が代わりに相続人になります(これも代襲相続ですが、再代襲は認められていません)。
💡 具体的な相続人の組み合わせ
実際に誰が相続人になるかは、亡くなった方に配偶者と、どの順位の血族がいるかによって、いくつかのパターンに分かれます。
相続人の特定は、以下の流れで確認できます。
- 配偶者がいるか? 必ず相続人
- 子がいるか?(第1順位) いればその人が相続人
- 子がいなければ、父母・祖父母がいるか?(第2順位) いればその人が相続人
- 子も父母もいなければ、兄弟姉妹がいるか?(第3順位) いればその人が相続人
相続手続きの第一歩は、この「誰が相続人になるか」を正確に確定することです。そのために、故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集めることが必要になります。
代襲相続とは?

代襲相続とは、「相続の開始以前に相続人となるべき子あるいは兄弟姉妹が死亡したが、その者の直系卑属がその者に代わって相続分を相続すること」です、また、相続人である者が死亡していなくても、相続の欠格事由や相続から廃除したことにより相続できない場合でも、その直系卑属がいれば代襲相続は可能です。直系卑属とは言わば子または孫にあたる者です。
ただし、相続人が相続放棄をした場合は、代襲相続できません。
代襲相続には他に以下の条件があります。
①本来の相続人が被相続人の子の場合・・・代襲相続人はその子(つまり被相続人の孫)となります。また孫が死亡し、その子(つまり被相続人の曾孫)となり、以下順次再代襲が認められます。
②本来の相続人が被相続人の兄弟姉妹の場合・・・代襲相続人は甥や姪ですが、甥や姪の子は代襲相続できません。
③本来の相続人となるはずの者が被相続人の配偶者である場合、代襲相続はありません。また、本来の相続人が被相続人の子や兄弟姉妹である場合でも、その配偶者は代襲相続できません。
※図のように、配偶者が相続開始時に生存していれば、その相続人は配偶者とその子の子(つまり被相続人の孫)となります。
なお、代襲者の相続分は、本来相続人がうけるべき相続分と同じになります。