宗教法人の解散
宗教法人の解散
宗教法人の解散は、大きく分けて「任意解散」と「法定解散」の二つに分けられます。
1.任意解散
任意解散とは、自主的に法人を解散することです。解散手続に関する規定が規則にあればそれに従い、規定がないのであれば、責任役員の過半数で決定します。
ただし、解散をするには、所轄庁(都道府県または文科大臣。詳細はこちら)の認証を受けなければなりません。
解散の流れ
①解散の決定をする。
②所轄庁の認証申請をする。
③②と同時に公告の手続をする(清算人は、2カ月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対して公告。ただし、債権者であることが確実である者には個別に催告をしなければならない。なお、公告は官報に限る)。
④認証の決定・債権者に対する手続を経て、清算手続をする。
2.法定解散
宗教法人法の規定により、以下の事由が発生した場合に解散します。
①宗教法人の規則で定めた解散の事由の発生
②合併
③破産手続開始決定
④所轄庁による設立又は合併の認証の取消し
⑤裁判所の解散命令
⑥宗教法人を包括する宗教法人にあっては、その包括する宗教法人の欠亡
なお、③による事由により解散をしたときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければなりません。
3.清算手続
解散手続に入ると、清算人を定めます。
清算人は2.の④・⑤を除き、規則で定められた者あるいは代表役員等が清算人となり、2.の④・⑤については、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、裁判所が清算人を選任します。
清算人の職務は「現務の決了」「債権の取立て及び債務の弁済(支払い)」「残余財産の引渡し」となり、残余財産については、規則で定めるほか、他の宗教団体又は公益事業のためにその財産を処分することができますし、それでも処分されない財産は、国庫に帰属します。
4.登記
解散登記・清算人選任登記は、認証を得てから2週間以内に、清算結了登記については、清算手続完了から2週間以内にしなければなりません。
宗教法人・不動産取得における非課税適用を受けるための手続について
宗教法人が宗教活動に使用すると認められる場合、登録免許税・不動産取得税・固定資産税(都市計画税)が非課税になります。
例えば、新たに取得する予定の土地の用途が、宗教施設に参拝する駐車場である場合や、そこに新たに礼拝堂等の直接的な宗教施設を作る場合などです。
非課税となる税について
非課税の対象となる税は以下の通りです。
登録免許税…権利登記をするときに課税
不動産取得税…不動産を取得したときに一度だけ課税
固定資産税…不動産を取得後、毎年課税
都市計画税…不動産を取得後、毎年課税
登録免許税や不動産取得税は一時的なものですが、固定資産税や都市計画税は毎年課税されるのであり、これが非課税となるのは大きなメリットといえます。
ただし、宗教法人が所有するからといってすべて非課税になるのではなく、宗教活動に使用されるものに限定されます。
非課税の要件
①宗教法人が専ら宗教の用に供するものであること
②宗教法人法その他の法令(建築基準法等)に適合していること
③宗教法人法及び法人規則に定める手続きを経て取得していること
最も注意すべき点は③です。公告が必要な場合、包括団体や総代会等の同意を要すると定められている場合など、法人規則の定めがある時はそれに従い、それを証明する書面が必要となります。
非課税手続について
非課税にするための手続は概ね以下のようになります。
① 売買契約や贈与契約等を締結する。
② 登録免許税の非課税証明を申請をする(県による現地調査)
③ 非課税証明を受けて所有権の移転登記(ただし、更地に建物を建設する予定の場合、その建設具合によって対応が異なります)
④ 不動産取得税の非課税申告(県税事務所による現地調査)
⑤ 固定資産税の非課税申告(市町村による現地調査)
必要書類について
必要書類は(2)の③の規則、取得する不動産によって変わります。
以下にそれらに関わりなく必要な書類を例示しますので、ご参考にしてください。
(登録免許税非課税証明)
① 代表役員印
② 責任役員会議事録
③ 責任役員であることの証明書
④ 取得する不動産の登記簿謄本
⑤ 売買・贈与・検査済書など不動産の取得を明らかにする書類
⑥ 道案内図
⑦ 写真
⑧ 規則
(不動産取得税・固定資産税非課税申告)
① 登記事項証明書
② 図面等
費用について
この手続そのものについて登録免許税は発生しません。
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