種苗法「品種登録」について、神山和幸行政書士事務所(和歌山県)

種苗法「品種登録」について(概説・要件)

種苗法の解説イメージイラスト

品種登録とは、育成者としてその権利を保存するために行います。

育成者が何年もかけて新品種を保護するために必要となります。品種登録をすると、以下の効果を得ることができます。

  他人の利用を禁止する権利を持つ。

 自己の利用については利用権を持つ。

①と②により、独占的・排他的な利用権(生産・販売)を持つことができるのです。

育成した植物の品種を登録出願し、その品種が登録されれば、独占的に利用(生産したり、販売したり)できるようになります。

  権利侵害の事実が認められる場合、その権利侵害の差止請求、それにより生じた損害賠償請求ができる

 新しい品種の登録は、皆様が汗を流し、膨大な努力とお金を費やして作り上げたものを保護するためのものですから、必ず行いましょう。


品種登録の要件

 品種登録の要件は、「区別性(明確区別性)」「均一性」「安定性」「未譲渡性」「品種名称の適切性」の5つです。これらの要件を満たさない場合の登録はできません。では、これら5つの要件をここでは概説します。

 

  区別性

  品種登録出願前に日本国内または外国において公然知られた他の品種と重要な形質に係る特性の全部または一部によって明確に区別されるものでなければ、登録を受けることはできません(種苗法3条1項1号・以下同じ)。

 これは、出願時にすでにそのその品種が世に知られている状態、あるいは世に知られている状態のものと同一ではないことが明確でなければならない(明確に区別されていなければならない)とされています。

 

  均一性

 同一の繁殖の段階に属する植物体のすべてが重要な形質に係る特性の全部において十分に類似していなければ、登録を受けることはできません(2号)。

例えばこの新品質を繁殖させてバラバラな形質であるということがあってはならないということです。特製の相違がたとえあったとしても、それが許容されるのは率として全体の3%以下だとされています。

 

  安定性 

  繰り返し繁殖させた後においても、重要な形質に係る特性の全部が変化しないものでなければ、登録を受けることはできません(3号)。

 ②に類似していますが、この場合繁殖を繰り返しても何世代にわたっても特性が変化せず安定性を保っていることを指します。もし、何世代後かにその安定性が失われた場合(品種の劣化)、品種登録は将来に向かって取り消されます。

 

  未譲渡性

  出願しようとする新品種は。その種苗または収穫物がその登録出願の日から、

ア.日本国内においては1年を遡った日前に、

イ.外国においては4年(永年性植物の場合は6年)を遡った日前に

業として譲渡されている場合は登録を受けることができません(4条2項)。なお、例外として、試験・研究のために譲渡された場合、または育成者の意に反して譲渡された場合(盗取など)は品種登録を受けることができます。

 

  品種名称の適切性

 最後に名称についてです。登録要件として、新品種には名称を付与し、願書に記載して出願することが定められています(5条1項3号)。名称の要件として「単一性」「登録商標余の非類似性」「非誤認混同性」が定められております。

※非誤認混同性とは、例えば和歌山で栽培されるのに「京都○○」とネーミングすることにより、京都が栽培地であると誤認させるようなことです。「最高級××」などの誇大であり得ない名称、病気に非常に弱いにもかかわらず「耐病▽▽」という名称を付けるなどがあげられます。



種苗法改正案について

令和2年5月現在、種苗法改正案が提出され、同6月現在、継続審議となっております。
改正案詳細については、こちらをご参照ください。
当事務所としても、審議状況を踏まえ、適時ブログにて公開してまいります。