著作権の登録について
1.著作権と特許権の違い
著作権と特許権の大きな違いは、特許権は先願主義なのに対して、著作権は登録がなくとも保護されることです。法律によって創作性が推認されるわけでもありません。
それでは、著作権の登録にどんな意味があるかについてです。
著作権の登録をしないと、以下のような不具合が生じます。
①著作権関係の法律事実を公示する。また、権利移動・質権設定を公示する。
いわゆる不動産登記制度とほぼ同一です。不動産登記でも、不動産の所有権の所在の推定が及ぶだけで、実際の所有権そのものを証明するわけではありません。
②創作物の製作日等を証明しやすくするため。
ただし、製作日が推定されるだけで、その反証までを否定するものではありません。
なお、著作物の内容が高尚か低俗か,有益か無益かなどの審査を行うものではなく,登録の前提となる事実が行われているか否かを申請書等から形式的に審査するものであり,文化庁は登録されている著作物の内容には踏み込みません。
また、プログラム著作権の登録は文化庁ではなく、(一財) ソフトウェア情報センターが登録機関となります。
2.登録制度について
以下の事項が登録できます。
①実名の登録・・・実名を登録することにより、反証がない限り当該著作物の著作者と推定され、創作者の死去も50年間保護されます。/無名又は変名で公表した著作物の著作者など
②第一発行年月日・・・反証がない限り、登録されている日に当該著作 物が第一発行又は第一公表されたものと推定されます。/著作権者・無名又は変名で公表した著作物の発行者
③創作年月日の登録・・・反証がない限り、登録されている日に当該プログラムの著作物が創作されたものと推定されます。
④著作権・著作隣接権の移転等の登録・・・権利の変動に関して、登録することにより第三者に対抗することができます。
⑤出版権の登録・・・権利の変動に関して、登録することにより第三者に対抗することができます。
※著作隣接権とは、例えば音楽でいうと、著作権は作曲家が持つのに対して、演奏者・歌手など、創作物の伝達者のことを指します
3.登録手続とその費用
登録は、文化庁長官が著作権登録原簿に記載し、または記録して行います。
著作権に関する登録は、いわゆる形式審査により行われ、法令の規定に従った方式により申請されているかなど却下事由に該当しないかどうかをチェックします。したがって、真にその日に第一発行がなされたのかどうかとか,、真にその当事者間で権利の移転があったのかなどの審査までは行いません(添付書類を公正証書として作成する必要もありません。)。
もっとも、真実と異なる書類を提出して文化庁に真実でない内容を登録させた場合には、刑法の「公正証書原本不実記載等の罪」に問われる可能性がありますの、,正確な書類の作成が必要となります。
なお、費用については、登録の内容や登録著作物によっても相当異なりますので、ご相談下さい。