平成28年6月より追加された「解体工事業」について。

解体工事業の新設

解体工事業許可必要性のチャートグラフ


平成28年6月1日より、建設業法において「解体工事業」が新設されました。

これに伴い、500万円以上の工作物の解体工事を請け負う場合には、原則として「解体工事業」の許可が必要です。
なお、以下の場合には解体工事業の許可を受けていても受注できず、該当する工事の建設業許可も必要です。

①各専門工事において建設される目的物について、それのみをを解体する場合
※例えば既存の信号機を解体し、新しい信号機を設置する工事の場合は、電気工事に該当。
※新たな橋を建設するために設置した仮橋を撤去する工事の場合は、鋼構造物工事内の橋梁工事に該当。
ただし、下請工事として受注する場合または専門工事のみを受注する場合に限り、一式工事を元請業者として受注する工事を除きます(その場合は下記②)。

②一式工事を行う場合で既存工作物(建築物)を解体する場合(その下請業者として既存工作物を解体する工事のみを請け負う場合を除く) つまり、一式工事で元請として受注して、解体後に新設する場合は、各一式工事の許可が必要です。


つまり、解体工事は「建築一式工事や土木一式工事で建造した工作物を解体し、更地にする工事のみ」というイメージに近くなります。

解体工事業の技術者要件

解体工事業の「監理技術者」と「主任技術者」の資格要件は下記のいずれかに該当する必要があります。
【監理技術者】
  ・1級土木施工管理技士※1
  ・1級建築施工管理技士※1
  ・技術士(建設部門、総合技術管理部門(建設))※2
  ・主任技術者の要件を満たし、元請として4,500万円以上の工事に関し、2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

【主任技術者】 (監理技術者資格に加え、以下の資格)
 ・監理技術者の資格のいずれか
  ・2級土木施工管理技士(土木)※1
  ・2級建築施工管理技士(建築、躯体)※1
  ・とび技能士(1級)
 ・とび技能士(2級)合格後、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
 ・「登録解体工事講習及び登録解体工事試験」に合格した解体工事施工技士
 ※平成17年度までに実施された解体工事施工技士資格試験及び平成27年度までの解体工事施工技士試験に合格した者についても、「登録解体工事試験」を合格した者とみなされます。
  ・大卒(指定学科)3年以上、高卒(指定学科)5年以上、その他10年以上の実務経験を持つ者等
 ・土木(あるいは建築、あるいはとび・土工工事業)工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
 ・とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上実務経験を有する者のうち、とび・土工工事に関し8年を超える実務経験を有する者
 ※1 平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する実務経験1年以上または登録解体工事講習の受講が必要。
 ※2 当面の間、解体工事に関する実務経験1年以上または登録解体工事講習の受講が必要。
 ※  登録解体工事講習については平成28年6月より受付開始。

解体工事業の許可と登録の違い

解体工事業を営む場合には、元請・下請を問わず、「建設リサイクル法」に基づく登録が必要です。
ただし、建設業法に基づく、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの許可を受けている建設業者は登録が不要となります(経過措置あり)。
解体工事業登録と建設業許可の違いは下の表をご参照ください。なお、先に登録を受けた業者が建設業許可を取得した場合には登録を受けている都道府県に通知しなければなりません(その後、登録は抹消されます)。

 
 解体工事業登録建設業許可
営業可能な工事 1件500万円未満の軽微な工事のみ 1件500万円以上の解体工事を含めたすべての解体工事
施工可能場所 登録を受けた都道府県に限定 全国で可能
登録/許可の申請先 解体工事を施工する場所を所管する都道府県 ※サブメニューから「大臣許可と知事許可」をご参照ください。


なお、将来的に解体工事業で建設業許可の取得をお考えの方の場合、解体工事で経営業務の管理責任者、あるいは実務経験による専任技術者の要件を満たすためには、原則として所定の解体工事(一部例外・経過措置を除く)の工事実績(500万円未満・専門工事として)が必要ですが、その工事実績においては、すでに解体工事業の登録をしていることが前提(登録を行わず、解体工事を請け負うことは違法状態となるため)なので、十分ご注意ください(土木一式工事、建築一式工事に解体工事が含まれている場合も同様)。