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社会保険・雇用保険の加入義務について

社会保険等加入義務の強化

建設業法の改正により、「社会保険等に加入していること」が明文化されました。それにより、社会保険等に加入していないと、原則として許可されません(適用除外に該当する事業者については引き続き加入義務はないので要件には該当しません)。

必要要件については以下の通りです。
ア 健康保険法第3条第3項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、健康保険法施行規則第19条第1項の規定による届書を提出した者であること。
イ 厚生年金保険法第6条第1項に規定する適用事業所に該当する全ての営業所に関し、厚生年金保険法施行規則第13条第1項の規定による届書を提出した者であること
ウ 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業の事業所に該当する全ての営業所に関し、雇用保険法施行規則第141条第1項の規定による届書を提出したものであること

※ 「営業所」とは、建設業法第3条に規定する営業所のことをいいます。
※ 個人事業主で雇用している人数が4人未満である場合の健康保険など、「適用除外」であるときには、届出は不要です。
 

建設業の労働保険について

適用事業

建設業であっても、労働保険の適用事業となる場合は、労働保険(雇用保険・労災保険)に加入しなければなりません。
建設業の場合、適用を受ける場合には、「2元適用事業」となります。
ここでは、建設業における労働保険について解説します。労働保険は、建設業許可申請、経営事項審査等の手続にも大きく関わってきます。

まずは、「適用事業について」です。
ちなみに、労働保険の徴収については、「事業」を単位として適用されます。例えば、一の建設業者において、支社や工場が別個に存在する場合には、その支社・工場もそれぞれ「事業」とみなされます。

建設業の場合、一人でも労働者を雇用すれば強制適用事業となります。




建設業は原則「二元適用事業」

建設業は「二元適用事業」です。
これは、労災保険と雇用保険を一元化してまとめて処理する「一元適用事業」ではなく、保険ごとに別個に処理する事業ということです。
なぜそんなことになっているか?理由は以下の通りです。

1.雇用保険は失業や就職、雇用を安定する等が目的の保険であるから、例外なく加入しなければならない。
2.労災保険は、建設業が「有期事業」にあたることから、その事業ごとに計算せねばならず、一元化が難しい。


労災保険に関する保険関係の一括

建設業は有期事業となり、本来ならばその事業が開始するごとに労災保険の処理を行わねばなりませんが、以下のような事業を一つの事業として処理することができます(労災保険のみ)。

1.有期事業の一括(法律上当然に行われる)
 小規模の工事などの有期事業が時期的に少しでも重複して行われている場合、それを一つの事業とみなして処理することで、事務処理を簡素化します。
有期事業の一括 神山和幸行政書士事務所

2.請負事業の一括(法律上当然に行われる)
 何段階かの請負(元請、下請、孫請)によって、工事が行われる場合に、本来であれば下請業者の行う工事が事業の単位となるが、それらをすべて一括し、全体を一つの事業とみなします。
請負事業の一括 神山和幸行政書士事務所(和歌山県

この場合、元請が事業主とみなされます。
ただし、下請負業者が相当の規模である場合は、その事業のみを分離して、独立した有期事業として扱うこともできます(ただし、認可が必要)。

労働保険番号

労働保険番号とは、14桁の番号で構成されている保険番号です。一元適用事業では労災保険の番号と雇用保険の番号が一つですが、建設業などの二元適用事業では労災保険用と雇用保険用の保険番号が分かれて管理されています。所轄の労働基準監督署又は労働保険事務組合が発行します。
 14桁の番号は、前から順に、府県(2桁)-所掌(1桁)-管轄(2桁)-基幹番号(6桁)-枝番号(3桁)で成り立っています。
 府県番号は、全国の都道府県を2桁の数字で表しています。
 二元適用事業の場合、所掌番号は「雇用保険にかかるもの(所掌番号『3』)」と「労災保険にかかるもの(所掌番号『1』)」の二つとなります。
 管轄番号は、管轄する労働基準監督署および公共職業安定所を2桁で表しています。
 また、基幹番号の末尾の数字については以下のように区分されています。

0・・・一元適用事業に該当(労災保険、雇用保険)
2・・・二元適用事業の雇用保険に該当
5・・・二元適用事業の現場労働者用の労災保険
6・・・二元適用事業の事務部門の労働者の労働保険、
8・・・二元適用事業の一人親方の特別加入の場合の労災保険

 なお、枝番号は、労働基準監督署が発行する番号は、000と表記されています。
 例えば、26-3-01-023432-000の場合は、「京都府内の事業の二元適用事業の雇用保険」の保険番号となります。
 よって、二元適用事業については、労働頬型番号が最大3つになることがあるということになります。

適用除外

以下の場合には、保険加入の義務はありません。

1.雇用保険の適用除外者
①個人事業の事業主
②法人の代表者
③法人の取締役、監査役など委任関係にある人
(取締役であっても労働者性が強い使用人兼務役員の場合は適用されます。監査役も名目上であって労働者性の強い場合は同様に適用されます。)
④同居の親族
(事業主や法人代表者の同居親族は、原則として適用除外者です。ただし、他の労働者と全く同様の立場で就労する場合等、例外的に適用される場合もあります。)
⑤65歳以上で新たに雇用される人
(65歳になる前からその会社で働いていて引き続き雇用される人は、適用除外者にはなりません。)
⑥短時間労働者
(所定労働時間が週20時間未満である人または雇用期間が31日未満の人。)
⑦季節的に雇用される人
(雇用期間が4ヶ月以内の人または労働時間が30時間未満の人。ただし、所定の期間を超えて引き続き雇用される場合は、その超えた日から適用されます。)
⑧学生
(夜間学生、休学中の学生、通信学生は除きます。)

2.社会保険の適用除外者
①臨時に雇用される人
②国民健康保険組合の事業所に雇用される人
③季節的に雇用される人 など