経営事項審査のうちの「経営規模等評価」の評価項目についての概説です。
※なお、W点の計算方法は合計数×10×190/200となりますが、ここでは各配点×10で表示しております。
1.研究開発の状況
この評価項目は、会計監査人設置会社のみが対象となります。
事業者がどれだけの研究開発を行ったか、その額(審査対象年とその前年の2年平均)に応じて加点されます。
前回の「監査の受審状況」-①と同様に、財務諸表に対して「無限定適正意見」または「限定付適正意見」を表明している必要があります。
研究開発費の確認は、会計監査報告書と建設業法様式の財務諸表の注記表で行いますので、研究開発費の額は必ず注記表に記載されていることが必要です。
2.建設機械の保有状況
審査基準日において、
建設機械を自ら所有しているか、または審査基準日から1年7か月以上の使用期間が定められているリース・レンタル契約を締結している場合に、その合計台数に応じて加点されるものです。
ただし、リース・レンタル契約は共有は認められず、レンタル会社以外の業種の会社(建設業者など)との契約では認められません。もちろん、他社にレンタルすることを目的としている建設機械も対象となりません。
建設機械の保有状況点数は、建設機械1台につき10点加算(P点換算後1点)、最高150点(P点換算後21点)です。
評価対象になる建設機械は、建設機械抵当法に規定される建設機械のうち、 ショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベル、 モーターグレーダー、大型ダンプ車、移動式クレーンの6つです。
3.評価対象となる建設機械の範囲の拡大
2.のショベル系掘削機、トラクターショベル、ブルドーザーに加えて、災害時に使用され、定期検査により保有・稼働が確認できるものとして、新たに次の3機種が、平成27年4月の改正により、加点評価の対象となります。
いずれの機種も1台につきW点において1点、合計で最大15点(現状維持)まで加点されます。
(1)モーターグレーダー
建設機械抵当法施行令(昭和29年政令第294号)別表に規定するもの
(2)大型ダンプ車
土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法(昭和42年法律第131号)第2条第2項に規定する大型自動車のうち下記を満たすもの
・経営する事業の種類として建設業を届け出ていること
・表示番号の指定を受けていること
(3)移動式クレーン
労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第12条第1項第4号に規定するつり上げ荷重3トン以上のもの
※いずれも、所定の定期検査を受けていることが加点の要件となります。
※大型ダンプ車は運送事業に使用する車(営)では加点の対象とはなりません。対象となるのは、建設業に使用する車(建)です。自動車検査証の写しで確認されます。
4.若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況(W9)
若年の技術者及び技能労働者につき、次の2点が評価されます。
(1)若年技術職員の継続的な育成及び確保の状況
審査基準日時点で、若年技術職員の人数が技術職員の人数の合計の15%以上の場合、「その他(社会性等)の審査項目W(以下W点という。)」において一律1点(P点加算後)の加点
(2)新規若年技術職員の育成及び確保の状況
審査基準日から遡って1年以内に新たに技術職員となった若年技術職員の人数が審査基準日における技術職員の人数の合計の1%以上の場合、W点において一律1点(P点加算後)の加点
技術職員は、Z点においてその資格と人数を評価対象とされていますが、今後は若者技術職員の育成及び確保の状況について、付加的な要素として新たに加点されることになりました。※若年技術職員とは、技術職員のうち審査基準日において満35歳未満の者を指します。
※対象となる技術職員は、
審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があり、かつ雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者に限ります。
平成30年度の改正
平成30年4月1日より経営事項審査改正の審査項目及び基準等が改正されます。
主な改正点は以下の通りです。
【改正内容】
①防災活動への貢献状況の加点幅の拡大
建設業者の「地域の守り手」としての役割の評価を拡大します。
この結果、防災協定の締結の評点が「15点」→「20点」へと変わります。
②建設機械の保有状況の加点方法の見直し
少ない保有台数でも評点が高くなるように評点テーブルを変更