回送運行許可について
車検証切れ・抹消済み・未登録の自動車は、本来は道路を運行することができません。 確かに、市町に対し仮ナンバーを申請すれば、それが可能ですが、その場合1台ごとに申請する必要があり、期限内(通常1日)に返却する必要が生じます。 自動車販売業等を営む上で、その都度仮「臨時運行許可(仮ナンバー)」を申請するのは面倒です。 そこで、「回送運行許可(ディーラーナンバーとも呼ばれることがある)」というものがあります。回送運行許可を取ることにより。1回の許可で複数の自動車に使用できるというメリットがあります。
では早速その要件等を見て参りましょう。
1.回送運行許可と仮ナンバーとの違い
下図をご覧ください。イメージとしては、臨時運行許可の場合、車両そのものに対して許可が行われ、回送運行許可の場合、許可を受けるのはナンバーに対して、ということでしょうか。
2.回送運行許可の概要
①期間・・・最長5年間です。
②許可可能な4業種
ア.製作・・・自動車の製作のために回送することです。 ・自社の製作工場とテストコースの間 ・自社の製作工場と車体架装工場の間 ・自社の製作工場と自動車置き場との間 イ.陸送・・・委託を受けて指示された場所間を回送する自動車です。 ウ.販売・・・中古車等を引き取り、展示場まで運び、販売した車を買主へ運ぶまでなどです。その販売した車を車検場まで運ぶ、登録・封印するなどもこれに該当します。 エ.分解整備・・・車検のために回送する自動車です。 なお、それぞれ定められた業務を遂行する場合に限り受けることができます。
③手数料・・・許可を受けようとする期間によって手数料が異なります。1カ月2,050円、最長5年で123,000円です(近畿運輸局の場合)。
※1台当たりの金額。
④自賠責保険・・・ナンバープレートに対してかけます。
⑤車両数・・・1枚のナンバープレートで何台でも繰り返し使うことができます。
⑥終期・・・毎年9月末日です。つまり、最長5年を最も有効に活用するなら、10月1日から5年後の9月末日の期間にしたいところです。
参考例 令和6年10月1日より運行開始する場合
※番号標貸与は2台(組)
※最長の5年間 貸与の場合
許可証交付手数料・・・123,000円×2=246,000円自賠責保険料・・・ 31,570円×2(参考)=63,140円
計309,140円
※当事務所依頼の場合、別途報酬などが必要です。
3.許可要件と必要書類
上記2.の4業種によって、要件が異なります。
ア.製作業者は1か月平均の製作車両数が10台以上であること。
イ.陸送業者は、まず「製作または販売を業とする者と1年以上の回送委託契約を締結し、回送自動車の運行管理に自ら責任を負う者であること」が前提です。 その上で、「陸送業務に直接従事する運転者数が10名以上であること(以下の者は除く。)」が原則ですが、「貨物自動車運送事業」などの許可を得て営業している業者や「湾港運送事業者(回送業務が自動車置き場から埠頭の区間又は埠頭内において行われる業務に限る)」であればOKです。
ウ.販売業者は「1か月平均の販売車両数が10台以上(新車・中古車を問わない)」であることが必要(輸入車販売業者の場合は、1か月平均の販売車両数が5台以上)です。
エ.分解整備業者は、「許可申請の直前1年間の臨時運行許可に基づく運行実績が7台以上」となります。 ◎必要書類 ①回送運行許可申請書 ②運転者等に対する法令関係研修の実施計画 ③社内取扱内規を記載した書面 ④管理責任者等の営業所への配置計画 ⑤最近3ヶ月間の製作、販売又は陸送の実績(計画) ⑥個人の場合は住民票、法人の場合は法人履歴事項証明書。
添付書類(陸送の場合)
①申請者の情報
・個人の場合は住民票・法人の場合は登記簿謄本
・案内図(ゼンリン地図など)と外観写真
②事業の概要
・運転者名簿
・賃金台帳
・出勤簿
・就業規則
・許可証の写しなど
③その他の書類
・社内取扱規程
・売上帳
許可申請から番号標貸与・その後の管理の流れ
1.申請から番号標貸与までの流れ
①運輸局へ相談②申請③申請内容の調査④許可(訳1か月後)⑤番号標貸与(手数料納付)※⑤までに番号標に対して自賠責保険の加入。先に自賠責保険加入後、手数料を印紙にて支払います。
2.許可取得後の義務・社内取扱規定の遵守・使用願をもとに、管理者が貸与。・許可証等使用簿の管理と記入。・回送運行実績報告書の提出(1年に1回)・許可申請の内容に変更がある場合、変更届の提出(管理者変更・社内取扱規定の変更など)
※近畿運輸局では、先ほども申し上げた通り、貸与の終期が9月30日です。
区切りよく許可を受けたいのであれば、10月1日に貸与できるように申請しましょう。