産業廃棄物収集運搬業許可要件
産業廃棄物収集運搬業とは?
産業廃棄物収集運搬業は、①どのような産業で生じた②どんな種類のゴミ(廃棄物)を、③どのような手段で収集し、④どのような手段で処理場に運搬し、⑤どこまで(処理場)まで運搬するのか?
(これらを「事業計画」と呼びます)を明確にすることより始まり、「産業廃棄物収集運搬業許可」とは、これら具体的な「事業計画」に対して受ける許可のことです。なお、産業廃棄物収集運搬業許可は各都道府県知事に申請します(全国的な許可は存在しません)。
産業廃棄物収集運搬業の許可を受けるための要件について、ご説明いたします。なお、この要件については、他府県で多少異なりますので、ご了承ください。工事現場等で発生した廃棄物をまとめて収集し、処分場へ運搬するときは、産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。ただし、元請業者が自己の工事で発生した廃棄物を自らが収集し、処分場へ運搬する場合など、許可が不要なことがあるので、留意してください。
(1)認定講習の終了
許可を申請する前に、あらかじめ許可申請に関する講習会を修了していなければなりません。講習会は「公益法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)」が実施しております。お申込みは、インターネットまたは郵送(書面)よりお申込みできます。なお、書面にてお申込みの場合、予め「受講の手引き」を入手する必要があります。各都道府県にある産業廃棄物協会にご請求ください。 講習を受けなければならない者は、次の通りです。
◎申請者が法人の場合・・・法人の代表者、もしくは役員、または事業所等の責任者。
◎申請者が個人の場合・・・申請者または事業所等の責任者。
※上記事業所は、業を行おうとする区域に存在していなければなりません。
有効となる終了証は以下の通りです。
◎新規許可申請時 新規講習会修了証:申請日の前日から起算して過去5年以内のもの。
◎更新許可申請時 新規講習会修了証又は更新講習会修了証:現行の許可の有効期間の満了日から起算して修了日が過去 5年以内(優良認定を受けている場合は過去 7 年以内)のもの。ただし、現行許可に係る更新又は新規の許可申請書に添付したものを除く。
◎変更許可申請時 申請日の前日から起算して過去5年以内(優良認定を受けている場合は過去7年以内)のもの
特に更新許可申請前、余裕をもって上記講習会を終えなければなりません。※和歌山県の場合、申請時に講習の修了証を添付できない場合、申請の日(更新の許可申請の場合は、許可期限の日)から起算して3か月を経過する日までに修了証が提出できない場合は、不許可処分とする場合があります。その場合、講習会を修了するまで審査を猶予する旨の申立書を添付し、上記期限までに受講の上、修了証を追加提出します。
(2)事業計画の策定
簡単に言えば、産業廃棄物の収集運搬を行うのについて、
①収集運搬しようとする産業廃棄物の主な排出事業者および取り扱う産業廃棄物の種類
②収集運搬しようとする産業廃棄物の処分先とその方法(処分できる産業廃棄物)
が確立されていないと許可は受けられません。上記②については、処分先が産業廃棄物処分業の許可を受けているかの証明が求められます。
(3)運搬施設の整備
産業廃棄物を収集運搬するのには、運搬車や運搬容器などの「運搬施設」が必要ですが、それらは収集した産業廃棄物が飛散したり、流出したり、悪臭が漏れるおそれのないようなものでなければなりません。 申請書には、上記運搬車の車両番号や写真の添付が必要であり、運搬容器等も同様です。 また、石綿含有産業廃棄物・水銀使用製品産業廃棄物の場合は、他の産業廃棄物と混合する恐れがないように、それぞれ専用容器(プラダンボックス等)に入れて、運搬する必要があります。
(4)経理的基礎
産業廃棄物収集運搬業を行うには、一定の経理的基礎が必要です。 通常、法人であれば直近3年間の決算書類、個人であれば「資産に関する調書」を添付します。また、直近3年間の納税証明書(法人・個人とも)の添付も必要です。なお、設立3年に満たない法人では許可が申請できないのかというと、そうではありませんのでご安心ください。設立したばかりの法人でも、決算期が最低1回到来していれば、その決算書を添付したうえで、申し立てにより、許可申請は可能です。 では、赤字経営の法人はどうでしょうか? その場合も、諦めずにご相談ください。会社設立間もない会社、債務超過の状態が続いてる会社場合は、収支計画書の提出により、健全性を説明していきます。
(5)欠格要件
許可を受けるためには、役員、株主、一定の権限をもった管理職が以下の欠格事由にあたらない事が必要です。
①成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
これらは、「登記されていないことの証明書」「市町村の発行する身分証明書」により確認します。
②禁固以上の刑を受け、5年を経過していない者
③廃棄物処理法などの法令に違反し、罰金以上の刑の処罰を受け、5年を経過しない者
④暴力団員の構成員である者など
暴力団員の構成員の確認は、都道府県警察本部に対して、暴力団員の照会をすることで確認されます。添付書類として上記に該当しない旨の誓約書を提出します。
産業廃棄物収集運搬業許可申請
1.提出先
産業廃棄物収集運搬業の許可権者は各都道府県知事です。許可を取得すべき都道府県は、「産業廃棄物を収集する場所」と「産業廃棄物を降ろす場所」を管轄する都道府県であることに注意してください。 また、和歌山県外で生じた産業廃棄物を、和歌山県(和歌山市を除く。)に運搬し、保管または処分することは原則禁止となっています。 ただし、リサイクルする場合等、和歌山県内(和歌山市を除く。)で保管又は処分せざるを得ない理由がある場合については、事前に排出事業者が和歌山県知事に協議し承認を受ける必要があります。
2.提出書類
提出部数は正本1部、副本1部+申請者控用にさらに1部です。基本的に書類審査となり、必要に応じて現地調査があります(積み替えのための一部保管場所など)。なお、下記の公的証明書類は原則発行3か月以内のものが必要です。
(必要な書類一覧)
①許可申請書(新規・更新)
②事業計画書(新規・変更)
③搬入先業者の処分業許可証写し(新規・変更)
④申請者の運搬先都道府県の収集運搬業許可証写し(新規・変更)
※なお、和歌山県知事が交付したものである場合は、添付不要
⑤事業所等の所在地一覧及び業務経歴(新規・変更・更新)
※和歌山県知事許可申請については、添付不要
⑥事業所等の所在地付近の見取り図(ゼンリンなど)(新規のみ、ただし変更があった場合は必要)
⑦収集・運搬の用に供する施設(運搬車、容器等)一覧(新規・変更・更新)
⑧運搬車の車検証等の写し(新規・変更・更新)
⑨収集・運搬機材(車両・容器等)の写真(新規・変更・更新)
※車両は、ナンバープレートの分かる前面の写真、及び車両全体の様子がわかる横からの写真。
なお、許可証が交付される際には、事前に許可番号が交付されますので、「産業廃棄物収集運搬車である旨、会社名、許可番号」が明示されたステッカーを貼り付けた状態の写真を撮影し、それに差し替えます。
⑩決算書類、納税証明書等(新規・変更・更新)
⑪住民票(新規・変更・更新)・・・個人の場合は本人、法人の場合は役員・5%以上を出資する株主等の本籍が記載された住民票(出資者が法人の場合は登記事項証明書)
⑫法人の場合は登記事項証明書及び定款(新規・変更・更新)
⑬産業廃棄物収集運搬業に関する認定講習修了証の写し(新規・変更・更新)
⑭車両の使用権原に関する証明書(新規・変更・更新)・・・車両をレンタル業者等から借り受ける場合に必要です。なお、車両は申請業者1事業者のみが借りていなければならず、又貸しは禁止です。かつて別業者が借りていた車両を借り受ける場合には、その車両について借用取り消しの届け出を行っているかどうかレンタル業者に確認してください。
⑮欠格要件に該当しない者であることの誓約書(新規・変更・更新)・・・欠格要件に該当していないことの誓約書です。
⑯成年被後見人、被保佐人として登記されていないことの証明書、身分証明書(新規・変更・更新)
⑰その他必要に応じて添付する書類
⑱水銀使用製品産業廃棄物の取扱いについて
※「水銀使用製品産業廃棄物」及び「水銀含有ばいじん等」を取り扱う場合、別紙の一覧表に記載する必要があります。
3.費用
府県に対して納める申請手数料(府県証紙代)は以下の通りです。必要費用については、別途お問い合わせください。なお、当事務所報酬については、こちらをご参照ください。①新規許可申請 81,000円 ②更新許可申請 73,000円 ③変更許可申請 71,000円 (特別管理産業廃棄物収集運搬業については、上記②③に+1,000円です)
4.注意点
①取り扱うことのできる産業廃棄物は、許可証に記載している種類のものに限られます。取り扱う産業廃棄物の種類を追加、あるいは変更しようとする場合には変更許可が必要です。②許可の有効期限は交付の日から5年間であり、更新許可を取得するためには、許可の有効期限42日前までに手続きをしていなければなりません。③積み替え・保管の許可を受けていない場合、積み替え・保管を追加して行おうとする場合には変更許可が必要となります。
許可申請補足説明
経理的基礎の申立て
産業廃棄物収集運搬業を行うには、一定の経理的基礎が必要である、ということは以前お話ししました。
その際、「直前の事業年度において債務超過である会社や過去3年間の経常利益を平均した額が0円以下である場合は、収支計画書の提出により、健全性を説明していきます」と申し上げました。
和歌山県では、赤字経営の場合「
経理的基礎に関する申立書」及び
経理的基礎を有することを説明する「事業改善計画書」「売上高内訳書」の添付を添付することになっております。
申立書では、 欠損の決算になっていることについて、その欠損が何に起因するかを説明したうえで、今後どのような対策を取り、財務体質の改善を行っていくかを説明します。その書き方は
申請者の事情に合わせて記載する必要がありますので、もし赤字決算を出してしまった状態で産業廃棄物数週運搬業の許可を申請したい方は別途ご相談ください。
決算書を添付できない場合の処理
設立間もない法人、開業が3年に満たない場合等諸事情により、決算書を添付できない場合は以下のように取り扱います。
設立年月日が1年未満の場合 |
申立書にその旨を記載 |
設立年月日が3年未満の場合 |
すでに決算を終えた年から現在の分まで決算書を添付し、申立書にその旨を記載 |
なお、個人事業主が許可をとる場合で、3年間のうち、最初の1年が非課税であった場合の取扱いとしては、非課税年度に対して発行される「非課税証明書」に加えて、その前年度の所得証明(市町村で発行されます)が必要となります。