都市計画法による規制を改めてご紹介します。 都市計画法に基づいて、都道府県(以下便宜上「県等」とします)は、県等内にあるそのエリアごとの特性等を考慮して分類し、その分類されたエリアの用途を指定しています。「○○区域」とか「××地域」などと指定しているのです。1.都市計画区域と区域区分まず、大まかに「都市計画区域」「準都市計画区域」「都市計画区域・準都市計画区域ではない区域」の3つに大別し、「都市計画区域」ではさらに区域が指定されています。2.都市計画区域
都市計画区域では、市街化区域と市街化調整区域に線引きされている区域と、線引きされていない区域の2つに分かれます。 市街化区域とは、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を行うために指定された区域であり、さらに用途地域という細かい分類がなされます。 市街化調整区域は市街化を抑制すべしと指定された区域です。現状維持が目標ですので、原則として建物は建築できません。この区域内の農地が原則として他に転用できないというのはこの規制が働くからです。
3.地域地区 区域による区分けのさらに細かい区分けについてです。 市街化区域はさらに12種類の地域に分類されています。 簡単に申し上げれば、住居系7種類、商業系2種類、工業系3種類です。 風営法では、風俗営業を営むことができる地域は、4つある住居専用地域以外の地域であるとなっておりますが、この規制もこの都市計画法に基づく用途地域が関係しているのです。 この用途地域のほかに、「防火地域・準防火地域」の地域分けがなされております。4.開発許可制度
一定以上の開発行為を行おうとする場合は、原則として、都道府県知事の許可が必要となります。開発行為とは、区画形質の変更をさします。区画形質の変更とは、農地転用の場合と同様に以下の通りとなります。(区画形質の変更)
区画⇒道路・水路等の公共施設の新設・変更・または廃止
形⇒ 切土・盛土により土地の高さを変更
質⇒宅地以外の土地(農地・雑種地)を宅地に変更
なお、一定の規模未満の範囲内であれば、開発行為に許可は不要です。(許可が不要な開発行為の範囲)
市街化区域・・・1000㎡未満(開発許可権者が300㎡まで引き下げ可能)
市街化調整区域・・・なし
非線引き都市計画区域・準都市計画区域・・・3000㎡未満
上記以外の区域・・・1ha未満
なお、上記基準は県等の規制で引下げ可能な場合があります。さらに、以下の例外があります。①農林漁業関係の建築物を建てるためであれば開発行為の許可が不要。②鉄道施設や図書館など公益上必要な一定の建築物及び公共施設等の開発行為については全区域で許可が不要。
5.市街化調整区域での農地転用
農地転用時にも、都市計画法に基づき指定される「市街化区域」と「市街化調整区域」とで取り扱いが異なります。
◎市街化区域とは?
・すでに市街地を形成している区域
・概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
◎市街化調整区域とは?
・市街化を抑制すべき区域
「市街化区域」と「市街化調整区域」はいずれも都市計画法に基づき、都道府県が線引きをします。市街化区域内での農地は転用許可は不要(事前届出のみ)ですが、市街化調整区域においては転用許可が必要となります。
・市街化調整区域内の農地で、「おおむね10ヘクタール以上の集団的に存在する農地であって、営農に適したものである農地」か、あるいは「土地改良事業等の事業の工事が完了してから8年以内の農地」は甲種農地に区分されることがあり、それ以外の農地よりも転用条件が厳しくなります。
・農用地区域の指定は市街化区域ではしてはならないことになっているので、市街化調整区域内に存在することになります。
※当事務所建設業ブログ(2014年初版作成)より転載。