大阪府・和歌山県での定款の見直しなら、神山和幸行政書士事務所へ

~定款を見直しましょう~事業の安定・発展・承継のために

旧商法時代に設立した会社の定款は、業務の拡大や新規事業参入をはじめ、会社運営の上で思わぬ障害になることがあります。定款を変更するには登記をしなければなりませんが、定款の変更を迫られるたびに変更すると登記費用や報酬がその都度発生することになり、非効率的です。
今後の事業の展望を見定め、定款を変更すべき条項は一気に変更する方がお得です。ここで紹介するポイントに心当たりのある方は是非定款の見直しをしましょう。

1.商号の見直し
2.事業目的の見直し
3.発行可能株式総数
4.「株式譲渡制限条項」を設けて、任期を延長
5.株券不発行会社に変更。
6.相続人等に対する売渡し請求の規定
7.増資に備えて発行可能株式総数を変更

1.商号の見直し
 商号は、いわば会社の名前です。貴社のイメージを決めてしまうものなので、最も大切なものです。事業目的とマッチしていますか?例えば設立当初に始めた事業がその後縮小したり廃止して、すでに新しい事業を展開しておられる、またはしようとする場合に、しばしば商号と事業がミスマッチをすることがあります。
 例 「〇×建設株式会社」・・・設立当初は建設業→現在、建設業から撤退、不動産業に業務進出・・・「〇×不動産(株)」あるいは、「〇×住宅販売㈱」の方がベター。
 ただし、商号には一定のルールが存在しております。商号を見直す際にはぜひ一度ご相談ください。

2.事業目的の見直し
 事業目的は今後展開しようと考えている事業は必ず盛り込むべきです。特に、許認可が必要な事業は、この目的条項に謳っていないと、許認可を得ることができない場合があります。
 事業目的のコツは、貴社の基幹事業に関連する事業を、今後行う行わない関係なく、盛り込んでおくこと。事業目的の数に制限はないので、思いつくものはすべて盛り込むべきです。
[事業目的に定めないと取れない許認可例]
・建設業
一般労働者派遣事業
・古物商
・酒類販売
・介護事業
・旅行業
宿泊施設運営 など

3.発行可能株式総数を増やす
 許認可には、会社の資本要件が厳しく定められている場合があります。資本要件をクリアするため、増資の手続をしようとしても、定款の発行可能株式総数に限界がある場合、その条項も変更しなければなりません。
公開会社(株式譲渡制限を設けていない会社)は、「設立時に発行する株式の数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることが出来ない」と会社法で決められていますので、設立時に発行する株式の数が1000株だった場合には、発行株式総数は4000株以下でなければなりません。つまり、4倍を超える数には出来ないということです。ただし、「株式譲渡制限条項」を設けることにより、この上限は適用されなくなります。発行可能株式総数とは、最大でどれだけ株式が発行できるか、その上限を定めるものですので、今後の事業展開を見定めて、多めに設定しましょう。

4.「株式譲渡制限条項」を設けて、任期を延長。
取締役の任期は原則2年以内、監査役の任期は原則4年以内ですが、株式譲渡制限会社では、定款で役員の任期を最長10年まで延ばすことができます。
 これにより、10年以内の、例えば4年、6年、といった任期を設けることができます。2年から10年に延びたことにより、取締役の重任(更新のようなもの)の登記の手間や登記費用を抑えることができるというメリットがあります。
 とくに、オーナー企業ような閉鎖的な会社では、役員が変わることはまれですし、役員に変更がなくても再任の手続きをとらなければならず、煩雑ですから、10年など長い期間を設定するメリットはあります。
 また、選任された取締役側から見ると、任期が長いため、長期的な視点で経営戦略を構築、実行するなどして、業績を上げることが可能となります。
 ただし、10年という長い任期を設けることにより、一度取締役に選任されてしまうと、正当な理由がなければ解任しにくい、というデメリットもあります。

5.株券不発行会社に変更
株券など発行した覚え(跡継ぎ社長なら教えてもらったこともないでしょう)もないのに、登記簿上は株券発行会社となっている・・・よくあるケースです。
 これが表面化するのは、既存株主に相続が発生した場合。株券が発行されているはずなのに、発行を受けてないことを知られ、思わぬトラブルとなるケースも考えられます。
 大多数の中小企業は、株券を発行していないことの方が少なくないのが実情だと思われます。そこで、定款の「株券発行に関する定め」を削除するのがお勧めです。

6.相続人等に対する売渡し請求の規定を設ける
オーナー企業も2代目、3代目と代替わりするにつれ、設立当時に出資してくれた家族(創業者の子、孫・・・)とも次第に疎遠となっていきます。会ったこともない人に株の一部が渡ってしまいますと、会社経営の中で重要な決定もできにくくなってしまうのです。それが深刻となると、会社経営ばかりでなく、会社を清算しなければならなくなる、ということも考えられます。どのような要求をしてくるのか、不安な状況を防ぐためにも、「相続人等に対する株式の売渡し請求」ができる規定を設けておきましょう。

以上の規定は、株主総会を開催して決議し、上記1~5までは法律の定めに従って登記をすることで有効なものとなります。
 複数の(かつ疎遠となった)株主から株式の譲渡を受けて現経営者に集中させたい場合には、株券不発行会社となってから行うことをお勧めします(この規定がないと、株券の発行と引き渡しを行ってから株式の譲渡を受けねばなりません)。

 株主総会や取締役会の議事録の作成など、詳しい手続方法については、当事務所へお気軽にお問い合わせください。