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一般貨物自動車運送事業の許可申請

一般貨物自動車運送事業許可申請のヘッドライン

1.緑ナンバーを取得するためには許可を得なければならない。
2.許可には様々な要件がある。
3.法令試験があり、それに合格しなけれなならない。

以下、長文になりますが、最後までお読みください。

(1)一般貨物自動車運送事業

運送事業の解説、イメージ
 貨物自動車運送事業(いわゆる運送業)と一口に言っても様々な種類があります。
 普通トラック(軽自動車や2輪自動車以外)類を使用して不特定多数から依頼を受け、有償で貨物を運送する事業は「一般貨物自動車運送事業」にあたります。一般的に「運送事業」と呼ばれる形態ははこれのことです。
 なお、ある事業場で貨物の仕分・集配を行い、異なる事業場へ運送して仕分して配達するような「事業所間の積み合わせ運送」を行う(特別積み合わせ貨物運送)場合には、さらに要件があります。

(2)貨物自動車運送事業の許可

車両を使用して、依頼を受けて有償で貨物を運送をする事業を始めるには、貨物自動車運送事業許可が必要です。例えば、建設業者が自社の受注する建設工事現場に建設資材を輸送する場合などはこれにあたりませんが、元請会社から自社(下請業者)が関わる工事現場以外にも建設資材を輸送するよう依頼されて報酬を受ける場合には、貨物自動車運送事業の許可が必要となります。

(3)一般貨物自動車運送事業許可の要件


一般貨物自動車運送事業を営むには、管轄の運輸支局を経由して、各運輸局に許可を申請しなければなりません。
運送事業の許可取得までの流れ


許可を受けるためには、以下に掲げる基準をクリアしていることが必要となります。

1.営業所、休憩所、車庫(駐車場)に使用する物件探し・車両の確保
営業所要件
①使用権原があること※賃貸契約の場合には、自動更新の要項が契約書内に明記されていること。
②駐車場から直線距離で10㎞以内にあること
③事務所の場所が原則として「市街化調整区域」でないこと(都市計画法の規定)
④事務所の場所の用途地域が「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「第1種中高層住居専用地域」(都市計画法の規定)と呼ばれる場所でないこと(第1種住居地域のため問題ない)
⑤建築基準法、農地法、消防法などに適合した建物であること
⑥10㎡以上の大きさがあること(あくまで目安)
⑦机、椅子、電話などが揃っていること(申請時にない場合は許可がおりるまでに揃えれば構いません)
⑧プレハブを使用する場合、建築確認申請をしていること※
※市街化調整区域にある駐車場内には建物が建てられません。従ってプレハブなどを設置して営業所(事務所)にすることもできませんのでご注意ください。

休憩所要件
①事務所内か駐車場内、またはその近隣にあること
②都市計画法、農地法、建築基準法、消防法に触れるものでないこと
③ドライバーがいつでも利用できる施設であること
④運行から運行までの休息時間が短いなどドライバーに睡眠を与える必要がある場合の睡眠施設は1人2.5㎡以上の広さがあること(睡眠を与える必要がなければ必要なし)

車庫要件
①車両と車両、車両と車庫の間にそれぞれ50cm以上の隙間確保。
②駐車場出入口の前の道路の幅が基本的に約6,5m以上あること。
③一台あたり、38㎡以上の広さを確保。
④車庫から公道への出入口の幅が道路制限令に対して適法であること。
※他に周囲に学校等がないこと、使用権原があること。

車両要件
①車検証の用途欄が「貨物」
②最低5台の車両が必要。

2.人的要件
①ドライバーは最低限5人以上必要。
②運行管理者は専従でなければならない。
③後述の法令試験に合格した役員が必要。
②と③の要件を両方満たす役員であれば、役員1名の専従で可能。
 したがって、ドライバー5人、運行管理者1人の計6人の人員を確保する必要があります。

1.運行管理者、整備管理者(候補)の確保
・運行管理者の確保
※運行管理者は専従が望ましい。
運行管理者は以下の要件のいずれかに該当していることが必要です。
①運行管理者試験に合格する。
受験資格として、事業用自動車の運行管理に関する1年以上の実務経験または自動車事故対策機構(NASVA)が行なう基礎講習の受講が必要です。
②事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の業務経験その他の要件を備える。
• 取得しようとする運行管理者資格者証の種類に応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務経験がある。
• その間に自動車事故対策機構が行なう運行管理に関する講習を5回以上受講している。5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している。
・整備管理者の確保
整備管理者とは、道路運送車両法などの法律に基づき、使用者に代わって自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理する者をいいます。
整備管理者になるためには、次のいずれかの資格要件を満たすことが必要です。
①整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること
② 一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること
資格要件①について
• 「整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車」とは、2輪自動車以外と2輪自動車の2種類です。
• 「点検又は整備に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
整備工場などで整備要員として点検・整備業務を行なった経験
自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行なった経験
• 「整備の管理に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
整備管理者の経験
整備管理者の補助者(代務者)として車両管理業務を行った経験
整備責任者として車両管理業務を行った経験
資格要件2.について
• 「地方運輸局長の行う研修を修了した者」とは、運輸支局毎に実施している「整備管理者選任前研修」を受講・修了した方をいいます。

2.運転者の要件
運送業許可取得時に緑ナンバーにする車両の台数分の運転者を確保していることが要件となります。運転者は運送業許可取得までに社会保険や雇用保険・労災保険に加入しなければいけません。具体的に言うと以下の通りです。

運送業許可は、ドライバーについても一定の条件をクリアするよう規定されております。具体的には下記のように定められています。
営業所に常勤するドライバーがいること(名義貸しはできませんので注意してください)
ドライバーは健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険に加入または許可申請時に加入予定であること
車両台数分以上のドライバーを雇用している、または許可申請時に雇用予定であること
 
 

3.法令試験 (後述)
 申請人本人(申請者が法人である場合には、申請する事業に専従し、業務を執行する常勤役員)が「法令試験」に合格すること。
 ※前述の「運行管理者」は「運行管理者試験」に合格しなければなりませんが、ここで申し上げた「法令試験」とは当然別の試験となりますが、試験の出題範囲とかなり重なっております。
よって、法令試験のクリアするためには、申請者ご本人(法人である場合は上記常勤役員)が自ら運行管理者となるか、運行管理者の資格を得た者を常勤役員に加える(法人の場合)か、いずれかを選択するとよいでしょう。

4.資金の準備
①資金調達について十分な裏付けがあること
自己資金は預貯金を基本とします。
許可申請までに下記の資金計画実現のため、十分が預貯金等を確保する必要があります。また、申請後法令試験に合格した後の間、運輸局から指定された残高証明書を再度求められます。その際にも、資金計画を上回る預貯金を確保している必要があります。
なお、預貯金以外の流動資産も含めることはできないわけではありませんが、運輸局によって判断が異なります。
ちなみに、2回の残高証明書で2回目の残高が多い場合であっても、増額分は資金としては認められません。

②所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。
 資金計画では、以下の通りの計算をします。簡単に言えば、人件費等は6か月確保している必要があり、その計算は正確なものでなければなりません。
・人件費(社会保険、労働保険、法定福利費含む)×6か月
・燃料費、車両整備費×6か月
・車両保険料等×1年
・その他(登録免許税等)

③自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済に加入する計画のほか、一般自動車損害保険(任意保険)の締結等十分な損害保障能力を有するものであること
加入すべき任意保険等の賠償額は、被害者1名につき無制限であること

 
5.その他
 輸送の安全管理体制の整備。
 車両の自賠責保険・任意保険の加入により、十分な保険能力を有していること。
 社会保険・雇用保険等の加入義務のある社会保険等への加入。
 
6.一般貨物自動車運送事業許可の欠格事由に該当しないこと。

(4)法令試験

法令試験のご案内です。
・受験できる者・・・一申請に1名のみ。申請人本人(申請者が法人である場合には、申請する事業に専従し、業務を執行する常勤役員)。
・実施方法   ・・・隔月に一度実施。申請後の翌月以降に、試験の実施予定日の前までに通知。不合格の場合には、さらに一回限り、次の法令試験を受験。
・出題の範囲(以下の法令等については、法令試験の実施日において施行されている内容から出題)
①貨物自動車運送事業法
②貨物自動車運送事業法施行規則
③貨物自動車運送事業輸送安全規則
④貨物自動車運送事業報告規則
⑤自動車事故報告規則
⑥道路運送法
⑦道路運送車両法
⑧道路交通法
⑨労働基準法
⑩自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年2月9日 労働省告示 第7号)
⑪労働安全衛生法
⑫私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
⑬下請代金支払遅延等防止法

・合格基準・・・出題数の8割以上。
設問形式
○×方式及び語群選択方式
・出題数
30問
・合格基準
出題数の8割(24問)以上の正答で合格です。
・試験時間
50分
・参考資料の持ち込み
参考資料の持ち込みはできませんが、関係法令等の条文が記載された条文集が当日配布されます。
この条文集には書き込みはできず、試験終了後に回収されます。


(5)必要書類・費用など

必要書類については、当事務所から改めてご案内いたします。
 費用は登録免許税12万円、その他必要費用についてはお見積りいたしますので、お気軽にご相談ください。