一般貨物自動車運送事業許可後の義務について 神山和幸行政書士事務所による解説

貨物自動車運送事業許可後の義務

一般貨物自動車運送事業許可後の各届出・認可申請及び定例事務について

貨物自動車運送事業許可後はまず次の届出を行わねばなりません。
なお、許可後一年以内に運輸開始する必要があります。


(1)許可後、運輸開始までにする手続

1.登録免許税の納付

2.運行・整備管理者の選任

 新規許可の場合は、まず選任届を提出しますが、事業継続中に行管理者や整備管理者を交代する際にも同様の様式で届出ます。なお、車両が30台以上になる場合は運行管理者をもう一名選任する必要がありますのでご注意ください。

3.適性診断の実施
 新規許可の場合は、原則として選任運転者に対して初認運転者適性診断を受けさせねばなりません。ただし、過去3年以内に他社において診断を受信している場合は、その控えで受信を省略できます。自動車事故対策機構に予約する必要があります。

4.運輸開始前確認報告

 運輸開始前に行う手続きです。まず、ドライバー全員等が社会保険・労働保険に加入し、その上で「事業用自動車等連絡書」を運輸支局へ提出し、営業ナンバー(緑ナンバー)への変更を行います。車検証はその後に書換を行います。すべての手続を行った後に、「運輸開始前確認報告」を行います。

5.運賃料金設定届
 運賃の一覧表を作成し、提出します。

6.運輸開始届
 運輸開始届を提出し、事業を開始します。


(2)巡回指導

運輸開始届提出後1ヵ月~3か月以内に適性化実施機関による巡回調査があります。
帳票類が整備されていない、申請と違うなどの場合には行政処分の対象となります。


(3)運輸開始後の手続

運輸開始後、以下の変更事項があるときは、諸届、あるいは認可申請をしなければなりません。
なお、事前に届け出る必要のある手続もありますので、注意が必要です。


 主たる事務所の名称及び位置  事後届
 営業所の名称及び位置  位置は認可、名称は事後届
 各営業所に配置する事業用自動車の種別及び種別ごとの台数  事前届
 車庫の位置及び収容能力・休憩・睡眠施設の位置・利用運送事業を行うかどうかの別  認可


その他、利用運送、特別積合わせについても届出・認可が必要な手続があります。


(4)定例事務について

事業報告とは、毎事業年度の経過後100日以内に届け出る決算報告です。
 注意点としては、まず毎年必ず提出すること、事業が貨物運送事業のみであればそのまま毎年の確定申告等の財務諸表を転記すれば基本的にOKですが、他の事業も営んでいる場合は、貨物事業とその他の事業を振り返る必要があることです。
 また、事業実績報告については、事業報告とは異なり、前年4月1日~本年3月31日までの間、実際にトラックが運行した距離・輸送トン数・営業収入を記載した書類となります。これも、事業報告と同様に毎年必ず提出しなければなりません。提出し忘れると処分の対象になり、(3)の変更手続を受理してもらえません。



第一種貨物利用運送事業者(貨物自動車運送)地位の承継

利用運送事業の承継について

先に第1種利用運送事業を登録し、一般貨物自動車運送事業の許可を得た場合、先の第1種利用運送事業の登録を受けている場合はこの登録を廃止します。
※一般貨物自動車運送事業で営むことができるのは、その委託先が実運送事業者のみです。
登録を受けている状態のままであれば、第1種利用運送事業を新たに営もうとしている事業者へ譲渡することができます。
 
ただし、譲り受ける事業者は第1種利用運送事業の要件を満たさなければなりません。
※要件についてはこちら

第一種貨物利用運送事業者の地位を承継した者は、その承継の日から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければなりません。(貨物利用運送事業法第14条第2項)