和歌山県下の相続手続なら、神山和幸行政書士事務所にお任せください!

RSS

登記上の面積と課税面積が異なる場合の取扱い


相続手続の一つである不動産(土地)の名義変更の際に登録免許税を計算します。

登録免許税の計算で欠かせないのが、評価額です。固定資産税評価証明書あるいは固定資産税納税通知書等により、固定資産税評価額をもとに計算します。

ただ、登記上の面積と課税面積が異なる場合はもう一つ計算が必要となります。

 

①固定資産評価単価の計算

 例えば、固定資産税評価額が1,000,000、台帳面積(登記上の面積)が900㎡、課税面積が800㎡である場合、台帳面積と課税面積が異なりますので、この場合はまず固定資産評価額の単価を求めます。

 

1,000,000(評価額)÷800(課税面積)=  @1250(単価)

 

②単価を台帳面積でかける。

1250×900=1,125,000

これが登記上の面積による固定資産税評価額となります。これに4/1000をかけます。

1,125,000÷1000×4=4500

 

なお、計算した課税額については、1000円未満は切り捨てです。

また、「市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち,不動産の価額が10万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置」の適用を受けることができる場合は、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」の旨の記載が必要です。




神山和幸行政書士事務所(073-460-5478)

和歌山県和歌山市
相続・遺言
2020-12-25 16:33:00

「特別の寄与」制度について


 

民法第1050条 

1.被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

2.前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。

3.前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

4.特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

5.相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

 

 
 今回の改正により、相続人以外の者(一定の要件)で被相続人の生前に療養看護や労務の提供など特別の寄与をした方についても、一定の範囲の元、相続人に対してその貢献に応じた額の金銭の支払いを請求することができるようになりました

 

 ただし、これには要件があります。

①被相続人の親族に限定

 具体的には例えば介護や看護など、例えば生前に親身になって世話をしてくれた子の配偶者など、被相続人の親族が特別寄与者に該当します。親族とは「被相続人の六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族」と規定されています。

 

②期限がある

 相続人との話し合いがスムーズに行かない場合には、家庭裁判所の審判で特別寄与料を決めてもらうことができます。しかし、審判を申し立てるには、「相続の開始および相続人を知ったときから6か月以内」または「相続開始のときから1年」という期限があります。

特別の寄与について、話し合いが進まないと思ったらすぐに審判申し立ての準備を始めないと間に合わない場合が多いのです。

 

③相続人が数人いるとき

 改正民法では、相続人が複数いるときでも、相続人全員に請求しなければ、特別寄与料全額を受け取ることはできません。ただし、全員がその請求に応じなければ一切受け取れないというわけではありません。

 

 このように、一見していい制度のように見えても、その手続は数々の難関が待ち受けています。またこの他に「遺産分割協議には参加できない」「家庭裁判所の審判には、寄与した事実を立証しなければならない」などのハードルも存在します。

 できれば、遺言などにより、生前に財産を分与する意思を表示してもらうのが無難ではあります。


神山和幸行政書士事務所(073-460-5478)
和歌山県和歌山市
相続・遺言

2020-10-10 16:00:00

相続法の改正(2)預貯金払戻し制度について


 今回の民法改正により、新たに「遺産分割前の預貯金払戻し制度」が創設されました。

これについてご紹介いたします。

 本来であれば、被相続人の預貯金債権も遺産分割の対象となり、ほかの相続人全員の了承なしには預貯金を引き出すことはできませんでした。

 従来であれば家庭裁判所に仮分割の仮処分を申し立てることができましたが、その要件として「事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるとき」に限定されていました。これでは、葬儀代や、被相続人が残した負債の支払い、生活費など、遺産分割終了まで待つ余裕がないケースであっても、それが「急迫の危険」防止にあたるのかが分かりにくく、金融機関も困ってしまいます。

 そこで、この制度が新たに設けられました。家庭裁判所の判断を受けずに任意の預貯金の払い戻しが認められる場合と家庭裁判所の判断を受ける場合とで若干の違いがあります。

 

1.任意の預貯金払戻し制度

 各相続人は、一定額までに限り、単独で預貯金の払い戻しが認められます。払い戻された預貯金は、遺産の一部分割としてその相続人が取得したものとみなされます(民法909条の2)。

一定額とは、「預貯金額の3分の1(※1)」×「各人の法定相続分」です。ただし、一つの金融機関につき150万円が上限です(※2)。

※1:預貯金額は、各口座毎に判断します。

※2:民法第909条の2に規定する法務省令で定める額を定める省令(平成30年法務省令第29号)

 これにより、払い戻された預貯金債権はその権利を行使した共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなされます。従って、仮にその相続人の具体的な相続分を超過した場合であっても、払戻しをした共同相続人は、その超過部分を残った財産の遺産分割において清算すべき義務を負うことになります。 

2.家庭裁判所による保全処分の要件の緩和

 相続人の生活費の支払いや借金の返済などの事情から、預貯金を払い戻す必要があると家庭裁判所が認めるときは、他の共同相続人の利益を害しない限り、特定の預貯金の全部又は一部を仮に取得できるようになりました(家事事件手続法200条3項)。

改正後も、遺産分割の調停・審判の申立がある場合に限ります。 

この手続では、家庭裁判所が必要と認める限りは金額に制限がないので、150万円を超えるお金が必要なときにも利用できます。 

ただし、これはあくまで「仮に」取得させるだけなので、払い戻した金額の最終的な取得者は、あらためて遺産分割調停や審判をするべきものと解されています。


神山和幸行政書士事務所(073-460-5478)

和歌山県和歌山市
相続・遺言

2020-10-08 14:00:00

前へ 1 2 3 4 次へ