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割増賃金

割増賃金について

労働基準法では、法定労働時間を超える時間・法定休日・深夜時間帯(午後10時から午前5時)に労働させた場合、割増賃金を支払うことを義務付けています。この規定の趣旨は、「長時間労働の抑制と補償」にあります。
割増賃金は下記のとおりです。


 時間外労働・・・25%以上  休日労働・・・35%以上  深夜労働・・・25%以上

なお、時間外労働が深夜時間帯に及んだ場合は25%+25%となり、休日労働が深夜時間帯に及んだ場合には、25%+35%となります。
当然のことながら、法定休日=日曜日とは限らず、シフト上日曜日に通常勤務がある場合には、これは休日労働とはなりません。法定休日とは、毎週少なくとも1日、あるいは4週間を通じて4日以上の休日です。

※法定内残業・・・例えば、就業規則等で一日の労働時間が7時間、一週間の労働時間が35時間と定めている場合、法定労働時間の上限と比べて、一日1時間、週5時間少ないことになります。つまり、一日1時間・週5時間以内を残業させた場合は、法定内残業となり、割増賃金の支払いをする必要はないということになりますが、別途賃金規程でその時間についても割増賃金を支払うと定めてしまってからでは、それを変更することは難しくなります。なぜなら、労働基準法1条に「(労働基準法に定める)基準を理由として労働条件を低下させてはならない」と定められているからです。


割増賃金の計算

割増賃金は「一時間あたりの賃金額」を基に計算します。
一時間あたりの賃金額の計算は、給与が月給か週給かなどで異なりますが、例えば月給制であれば、賃金総額から月の所定労働時間数で割ります。
ただし、以下のものについては、割増賃金の基礎となる賃金から除外されます。

①家族手当
②通勤手当
③別居手当(単身赴任手当など)
④子女教育手当
⑤住宅手当
⑥臨時に支払われた賃金
⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

上記の①~⑦については、除外しなければならないのではなく、除外できるという規定なので、除外しなくても構いません。なお、①~⑤については、労働者の個別事情に応じて金額が決まる場合に除外できるのであって、労働者全員に一律の金額で支給される場合には、除外できません




時間外労働・休日労働

上記の割増賃金が発生する時間外労働や休日労働は、以下の要件に当てはまる場合のみ認められています。

①法定内残業である場合(前述)・・・つまり、就業規則等で定められている労働時間が法定労働時間より少ない場合に、それらの労働時間の差の時間以内での残業である場合です。
②災害等による臨時の必要がある場合・・・災害等で臨時に残業をする必要が生じた場合には残業させることができます。ただし、行政官庁の許可(自体窮迫の場合は届出)が必要です。
③公務のため・・・公務員に限られます。
36協定による場合
・・・労使協定あるいは労使委員会による決議によるものです。この労使協定を「36協定」といいます。労使納得の上、残業を行う必要があるわけです。この協定あるいは決議については、行政官庁に届け出る必要があります。