建設業に関わる法令の解説。神山和幸行政書士事務所

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2019/01/28 国交省/通常国会に6法案提出へ/業法・入契法を一括改正


国土交通省は28日召集の通常国会に計6本の法案を提出する。予算関連法案は奄美群島振興開発特別措置法・小笠原諸島振興開発特措法の一括改正案と建築物省エネ法改正案の2本。予算関連以外では建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の一括改正案を提出し、建設業の経営力向上や適正な施工確保を図る措置を講じる。

提出予定法案は▽奄美群島振興開発特措法及び小笠原諸島振興開発特措法改正案(予算関連)▽建築物省エネ法改正案(同)▽道路運送車両法改正案(非予算関連)▽航空法及び運輸安全委員会設置法改正案(同)▽建設業法及び入契法改正案(同)▽船舶油濁損害賠償保障法改正案(同)-の6本。

建設業法・入契法一括改正案を提出するのは、建設業を取り巻く働き方改革や生産性向上といった最新の社会経済情勢に対応するため。業法改正に向けた検討事項として、建設業許可基準のうち経営業務管理責任者の要件を緩和。社会保険未加入業者の許可・更新を認めない仕組みも設ける。注文者に著しく短い工期の請負契約締結を禁じる。工場で作る建設資材の製造者に対し、勧告と命令ができる制度を設ける。入契法では、公共工事の入札契約適正化指針に施工時期の平準化を記載することを検討している。

建設業法と入契法の改定準備が進む中、自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(根本匠会長)は、災害時の緊急対応などを柱に、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の改正作業に取り組んでいる。改正案が今年の通常国会に提出されると、14年の通常国会と同様に建設業法、入契法を合わせた「担い手3法」改正案として審議が進みそうだ。

奄美群島振興開発特措法・小笠原諸島振興開発特措法の一括改正案は、本年度末で期限切れとなる両特措法の有効期限を19年度から5年間延ばす。

建築物省エネ法改正案では、現行法で大規模非住宅建築物(延べ床面積2000平方メートル以上)の新築時に義務付けている省エネ基準への適合対象範囲を拡大し、中規模非住宅(300平方メートル以上2000平方メートル未満)を追加する。

小規模住宅・非住宅(300平方メートル未満)の省エネ対策を担保する仕組みも構築。新築設計を行う建築士に対し、省エネ基準への適合可否などを建築主に必ず説明するよう義務付ける制度を設ける。

(建設工業新聞 1月25日より)
2019-01-28 21:16:12

和歌山県発注の建設工事における社会保険等未加入対策について


平成31年4月より、県発注建設工事における社会保険等未加入対策について、以下のように強化されます。

これまでも社会保険等未加入業者とは原則として県発注の建設工事において契約を行いませんでした。
今後、下請け工事について、一次下請のみに限定されず、二次以下の業者についても、社会保険等未加入業者が加わっていれば、元請業者に対しても契約を行いません。
なお、契約を締結した後に以上のような事実が発覚した場合、60日以内に改善されなければ、元請に対し入札参加資格停止1カ月となるのは変更ございませんので、元請及び下請業者には十分配慮をよろしくお願いいたします。

※社会保険とは、「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」の総称です。
雇用保険とは労働者が失業等になった場合に労働者の教育訓練などに応じて必要な給付を行います、
健康保険とは労働者及びその扶養者が業務災害以外に疾病等にかかった場合に必要な給付を行い、厚生年金保険は老齢等による場合に必要な給付を行います。なお、加入義務のない業者もあります。
詳しくはこちらのページをご参照ください。

2019-01-23 12:58:59

中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会 平成31年度審議を開始


「国土交通省「中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会」平成31年度審議を開始 新たに個人事業主の事業承継時の許認可手続きの簡素化、災害時の建設業団体の責務などが課題に」

1.建設業を巡る最近の状況

1)建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインの改訂
働き方改革関連法による改正労働基準法(平成31年4月1日施行)に基づき、建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用される。
5年の猶予期間中において取り組むべき事項をガイドラインとしてまとめられ、「受注者は、違法な長時間労働に繋がる「工期のダンピング」を行わない。」と明記された。

2)平成30年9月18日の石井国土交通大臣と建設業団体の意見交換会
大臣要請のフォローアップという趣旨のもとに開催。
国交省の取組のポイントとしては、平成30年7月に「適正な工期設定等のためのガイドライン」の改訂・周知の取組、週休2日工事の普及について、全ての都道府県に対して原則として本年度中に導入するよう協力を要請した点が挙げられた。
日本建設業連合会をはじめとした建設業4団体の取組のポイントとしては、適切な労務費内訳が明示された下請業者の見積りを尊重する「労務費見積り尊重宣言」の決定(日本建設業連合会)や、技能や経験に見合った給与の引き上げを行い、技能労働者の処遇改善に努める(建設産業専門団体連合会)取組が挙げられた。

3)重要インフラの緊急点検の概要
平成30年7月豪雨、平成30年台風第21号、平成30年北海道胆振東部地震等により、これまで経験したことのない事象が起こり、重要インフラの機能に支障を来すなど、国民経済や国民生活に多大な影響が発生した。
これらの災害で明らかになった課題に対応するため、防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策が打ち立てられた。
既往点検の結果等を踏まえ、防災のための重要インフラ等の機能維持、国民救済・生活を支える重要インフラ等の機能維持の観点より、国土強靭化基本計画における45のプログラムのうち、重点化すべきプログラム等20プログラムに当たるもので、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策について、2018年度~2020年度の3年間で集中的に実施するとした。
そのうち、防災のための重要インフラ等の機能維持については、概ね3.6兆円程度と想定されている。

4)建設業の許可申請等に係る都道府県経由事務の廃止
平成30年の地方からの提案等に関する対応方針として、2以上の都道府県の区域にわたる建設業の国土交通大臣に対する許可申請等に係る都道府県経由事務(44条の4)については廃止。
その際、申請手続が電子化されるまでの間において、都道府県が希望する場合には、都道府県を経由して国土交通大臣に提出することも可能となる。

5)建設キャリアアップシステムの構築
技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組である「建設キャリアアップシステム」は、平成31年1月以降、システムを利用できる現場を限った「限定運用」を開始し、平成31年度より「本運用」を開始予定。

6)建設分野における外国人材の受入れ状況
2017年の外国人材は、全産業で1,278,670人にのぼる。建設業に携わる外国人数は55,168人で、このうち技能実習生は36,589人である。
2011年から比べると、建設業に携わる外国人全体では330.3%、技能実習生では438.8%の増加率となる。

建設業における外国人労働者受け入れ状況
 

7)建設技能者の人手不足と受入れ数の見直し
現在の就労者の年齢構成等を踏まえると、2018年度は約329万人、5年目は約326万人となると見込まれる。
働き方改革の進展を踏まえて必要となる労働力は、2018年度は約331万人、5年目は約347万人と見込まれる。
その結果、2023年時点では、21万人程度人材が不足する見通し。
2025年までに建設現場の生産性を2割向上させるという目標(未来投資会議(2016.9))等を踏まえ、年1%程度の労働効率化を目指し、5年間で16万人程度の生産性向上を図りつつ、働き方改革や処遇改善により1万人~2万人程度(就労人口の純増)の国内人材確保を目指す。
こうした取組を行ってもなお不足する3万人~4万人程度の人材については、特定技能外国人を受け入れる。

8)建設業に係る独自の受入計画・審査の実施及び審査基準の策定
報酬額が同等の技能を有する日本人と同等額以上、安定的な賃金を支払い、技能習熟に応じた昇給を行うとされた。
日本人の労務単価低下の防止策と考えられる。
受入れ機関が報酬予定額等を明記した計画を作成、国土交通大臣が認定する。
特定技能2号は、技能検定1級相当の技能試験(実技、学科)及び班長としての実務経験という人材基準が策定されている。

建設業における外国人独自受け入れ計画策定状況
 

2.担い手確保の取組を強化するために当面講ずべき措置について


1)長時間労働の是正
受注者による工期ダンピングの禁止が挙げられ、土日、夜間の施工を禁止するなどの意見が出た。また、受注者は請負代金のみならず、工期も含めた見積書を交付する。
さらに、不当に短い工期による請負契約を禁止。著しく短い工期による請負契約を締結してはならないこととし、違反した場合の注文者への勧告制度を創設。
正当な理由がなく勧告に従わない時は、その旨を公表するとした。(一定金額に満たない請負契約、個人の注文者は除く予定)

2)処遇改善
一定の工事において、注文者が請負人に対して一定の技能レベルを指定できる制度の創設が挙げられた。建設キャリアアップシステムの本運用後、能力評価制度が出来上がった後に検討予定。
また、施工体制台帳に記載すべき事項に、作業員名簿を追加。登録基幹技能者をはじめ、現場で作業する技能者を施工体制台帳における記載事項とする。
建設工事に従事する者は、建設工事を適正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めることとし、リカレント教育を想定。
さらに、社会保険加入対策の一層の強化として、未加入の建設企業は建設業の許可・更新を認めない仕組みの構築や、下請代金のうちの労務費相当分については、手形ではなく現金払いが徹底されるよう規範を強化するとした。
建設業許可については要件化が検討される。

3)生産性向上
限られた人材の効率的な活用の促進として、上位専門工事企業で配属する主任技術者について、一定の指導監督的な実務経験を有するといった要件を求める。
さらに、制度の対象とする建設工事の規範について、下請代金の額を現行制度における主任技術者を専任で置く必要のない範囲内とするなど、一定の上限を設けるとした。
本制度を用いて建設工事を施工しようとする旨等について、元請負人は注文者の承諾と下請建設業者の同意を得ることが求められる見込み。
元請は注文者の承諾と下請の同意が必要であったり、3,500万円以内などの上限を設けるなど、具体的な提案があった。
また、若手技術者の技術力育成を図るため、監理技術者補佐(仮称)が専任配置されている場合には、一定の条件の下、当該工事の監理技術者について他の工事等との兼務を認める仕組を創設。
一定の要件の下で監理技術者補佐(仮称)を専任で置けば兼任を許可するなど、技術者配置要件の合理化がなされるようだ。
さらに、技術検定試験を、学科と実地を加味した1次試験と2次試験に再編し、1次試験の合格者に監理技術者補佐(仮称)となることができる技士補(仮称)の資格を付与。
監理技術者補佐(仮称)の要件は、2級技士を保有した1級技士補(仮称)を想定。
1次試験で学科・実地の基礎問題、2次試験で学科・実地の応用問題とし、2級合格後、1級の1次試験合格者が技士補(仮称)となれるとする案が出された。

4)地域建設業の持続性確保
災害発生時における公共発注者の責務の明確について検討。
さらに、経営層の高齢化が進む地域建設業の持続性の確保につなげるため、経営業務管理責任者の要件について、建設業に係る5年の経営経験については廃止するが、許可を受けようとする建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして一定の基準に適合していることを求める。
たとえば、事前に発生日を決める制度への変更など、他の業務に既にある制度を基に意見が出された。
また、個人への年数要件は求めないことや、経営事項審査等で会社全体を評価しているように許可を受けようとする建設業者が請け負えるかどうか確認する方向に変えるなど、今後検討されていく。

3.中間とりまとめ以降の課題について


1)災害時における建設業団体の責務について
建設工事の担い手の育成及び確保その他の施工技術の確保に関する努力義務を課しているが、これに加えて包括的な協定書の締結や災害時の連絡体制の確保等、災害時における公共との連携についても努力義務としてはどうか。

2)個人事業主の事業承継時の許認可手続の簡素化について
個人事業主の事業承継が阻害されないよう、建設業の許可制度について何らかの措置を検討できないか。
建設業に限らず、他の産業でも跡取りがいない状況があることを踏まえ、事業承継が阻害されないよう変更するなど、事業承継の制度化、簡素な制度の構築、自己届出で良いとするなど、具体的な提案がなされた。
個人事業主の事業承継についての考え方としては、法人格の変更については新規の許可取得が必要としているところ、今後個人事業主の事業承継、相続について事前許可制を念頭に検討する。
 
建設業における個人事業主承継に対する考え方

3)下請建設業者の建設現場における建設業許可証掲示義務の緩和について
今後の方向性として、たとえば工事現場での許可証掲示を元請業者のみでよいことにするなど、工事現場における下請業者の建設業許可掲示方法の緩和について検討できないか。
下請に関しては施工体制台帳のみにするなど、意見が出された。

(2019.1.17)
2019-01-18 08:56:14

国交省/専門工事共同施工制度創設へ調査/「技士補」想定し若手技術者の活用策検討も


国土交通省は19年度、建設技術者の働き方改革を一層推進する。建設業法の改正を見据え、下位専門工事会社の主任技術者配置を不要とする「専門工事共同施工制度(仮称)」の創設に向けた調査・検討を実施。国家資格「施工管理技士」の学科試験合格者に付与する「技士補(仮称)」を想定した若手技術者の活用方策も検討する。19年度予算案に関連経費を計上した。

中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)の合同小委員会が、建設業法改正などを視野に審議した結果を昨年6月に取りまとめた。国交省では通常国会での法改正に向けて検討を進めている。

取りまとめの中で生産性向上や働き方改革の観点から、専門工事共同施工制度(仮称)の創設が提言された。上位の専門工事会社の主任技術者が、下位の専門工事会社の業務範囲をカバーすることで、下位の主任技術者の配置を不要とする仕組みだ。

19年度は制度創設に向けた施工体制の実態調査・分析検討に取り組む。

元請建設会社の技術者配置要件の合理化についても提言されている。一定の実務経験と知識を有している若手技術者を「監理技術者補佐(仮称)」として施工体制に位置付け、専任配置する場合、監理技術者に兼務を可能とする。

国交省は現在、監理技術者や主任技術者になれる国家資格「施工管理技士」を取得する技術検定で、1、2級の学科試験合格者に付与する「技士補(仮称)」を検討している。監理技術者補佐の要件として、2級施工管理技士で1級の学科試験合格者に付与する1級技士補以上の技術者をイメージ。早期に責任ある立場で現場に従事させることで、若手技術者の技術力向上にもつなげる。

(建設工業新聞 1月15日より)
2019-01-15 20:47:23

国交省/「解体工事」業種追加の経過措置、19年5月末で終了/早めの申請を


国土交通省は建設業許可業種区分への「解体工事」追加に伴う経過措置の終了後の取り扱いを許可行政庁などに周知した。とび・土工工事業の許可で引き続き解体工事を営むことができる経過措置が19年5月31日に終了。同日までに申請していれば許可または不許可が下りるまで解体工事を営める。6月1日以降の解体工事は解体工事業の許可業者に限られる。

申請から許可まで1~4カ月かかる。駆け込み申請も予測されるため、国交省では「早めに申請してほしい」(土地・建設産業局建設業課)としている。

14年5月成立の改正建設業法のうち、新たな許可業種区分に解体工事を加える規定が16年6月1日に施行された。とび・土工工事業から解体を独立させて29番目の業種区分とした。3年間は、とび・土工の許可で引き続き解体工事を営むことができる経過措置を設け、さらに2年後の21年3月末までは、とび・土工に対応した既存技術者を主任技術者として認めている。

経過措置終了後のとび・土工工事業者の扱いに関する文書を、許可行政庁や公共発注機関、建設業109団体に26日付で通知した。

【建設工業新聞 12月 28日 1面記事掲載】
2019-01-07 20:22:18

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