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無限責任と有限責任

現在、我が国の営利法人は株式会社あるいは有限会社がそのほとんどを占めています。昨今合同会社の設立が急増しておりますが、これらの出資者(社員あるいは株主)はすべて「有限責任」、つまり出資の限度により会社に対して責任を負います。
会社の起こりは諸説ありますが、会社組織の出発は「無限責任」つまり出資の限度に関わらず、会社に対して全面的に責任を負う出資者で構成されていました。
しかし、そうなると出資できる者はごく少数となり、会社の規模に限界が生じます。業績の伸びている会社に出資したい者がいても、万が一業績が悪化し、倒産でも起こったらとしり込みする者も大勢いたでしょう。そこで考え出されたのが、出資の限度で責任を持つ形態が考え出され、株式の公開制度などが誕生して、出資者が激増し、会社組織が発展を遂げたというわけです。


無限責任

さきほども申し上げた通り、「無限責任」とは「会社が倒産したときなどに、会社の債権者に対して負債総額絵全額の責任を負う」というものです。つまり、会社の財産をすべて清算してもなお残った債務については、無限責任を負う者は個人の財産をもち出してでも弁済しなければならなくなります。さらに、債権者には直接弁済する責任もあります(「直接責任」という)。
 現在、この「無限責任社員」を認めている会社形態は、「合名会社」と「合資会社」です。なお、「合名会社」は直接無限責任社員のみで構成される会社で、「合資会社」は直接無限責任社員と直接有限責任社員とが存在する会社となっています。
 

有限責任

無限責任に対して、「有限責任」とは、「会社が倒産したときなどに、会社の債権者に対して出資額を限度として責任を負う」というものです。つまり、会社がつぶれたときに出資したお金は消えてしまうが、それ以上は責任を負わないという点に無限責任とは大きく異なります。また、債権者に直接責任を負うわけではなく、出資した会社に出資額だけの責任を負うことになります(これを「間接責任」という)。  
 現在、間接有限責任を負う者だけで構成される会社形態は、「株式会社」(特例有限会社を含む)と「合同会社」です。
 ただし、金融機関から融資を受ける際には、オーナー社長などは連帯保証等を求められるケースが多いのが実情であり、事実上は無限責任を負っているといえます。
 現在、クラウドファンディングによる出資が増えています。ただ、金融機関から融資を受けるだけという時代は終焉を迎え、新たな資金調達手段も発達しつつあります。今後は創業もますますし易くなるような仕組みがどんどん開発されていくことでしょう。