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『相続放棄』と空き家の管理について


被相続人に借金があった場合や、被相続人と疎遠であって知らない人の財産を取得したくない場合に相続人は相続放棄をすることにより相続財産を相続しないことにできます。

一度相続人が相続放棄をしてしまえば、原則的に相続人は被相続人の有する一切の権利や義務を相続しないことになり、原則相続人は相続財産に関して何ら責任を負わなくなります。

ところが、相続放棄をした後が問題です。民法では、相続放棄後、相続財産管理人が選任されるまでは「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」相続財産を管理しなければいけなくなるのです。つまり、自分の財産と同レベルの注意義務をもって管理をしなければいけないということです。

また、相続財産管理人が選任された後も問題です。ワケありの物件は中々買い手が見つからず、その間管理人は管理をし続ける必要があり、その間「管理報酬」が発生し、管理するための費用(修繕費用など)も、相続放棄したはずの相続人が負担し続けることになるのです。

相続放棄したから関係ない、という期待は捨ててください。相続人同士でいらない不動産を押し付けあう気持ちはわからなくもないですが、相続人全員で協力し合って進めていくのが、相続不動産の管理責任の解決方法だと思います。
相続人の誰が一人に任せるのではなく、それぞれ自己の責任を自覚して解決に向けて進めていくようにしましょう。

※     ※     ※

誠に申し訳ございませんが、相続財産管理人の選任や不動産の管理・処分方法については、業法に違反する恐れがありますので、個別具体的なご相談については各弁護士会・家庭裁判所にお尋ねください。

2022-04-02 11:01:10

不在住・不在籍の証明書


皆さんは「不在住・不在籍の証明書」を耳にしたことがあるでしょうか?
相続の手続をするには、被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃えて、戸籍の附票を揃え、不動産の権利証で、その不動産は被相続人が所有者であったことを証明します。
ところが、この「戸籍の附票」が、自治体によっても異なるのですが、大体5年~10年以上経つと破棄されてしまいます。それでは、権利証に記載されている住所が被相続人のものなのか証明することが難しくなります。
そこで、苦肉の策として、「不在住・不在籍の証明書」を添付します。
これは、「権利証に記載された住所・氏名・本籍と一致する該当者は存在しません 」ということを証明する書類となります。それを「反対証明」といい、一件でもその住所・氏名・本籍に該当する方がおられる場合は発行できません(同一人物ではない別の人物が存在しているため)。これを相続登記時に添付することにより、相続登記が可能となります。
ただし、相続人の上申書も添付しなければなりません。
上申書の内容は簡略に言うと「被相続人と権利書上が同一人物であることを疎明する書類がないが、同一人物であることを上申します。今後いかなる紛争が起きても登記所にはご迷惑をおかけすることはありません」という内容です。
2021-11-24 03:13:14

先日のご相談


先日、兄弟姉妹間の相続について相談がありました。
 
 姉(90)(配偶者、子ともになし)が余命いくばくもなく、その他の兄弟姉妹6人が姉の生活費の工面等で、以前から姉に「家と土地を売ってもよいので」と言われました。
 病院より「余命3か月」と告知されており(姉にはその告知はされていません)、家を処分するための委任状を作成すべきか、遺言を作成してもらうべきか、本人(妹)は悩んでいるそうです。

 委任状を取り、土地と家屋を処分してそれを姉の治療費、あるいは兄弟姉妹間で分けるべき(そのためには姉に別段の意思表示が必要)なのか、結論としてはその方向で進めていただくのですが、すぐに土地・家屋が売れるわけではなく、その間に姉が死去すれば、委任した本人は死亡するので、委任は無効となります。
 一方、遺言は姉自身の意思が必要なので、不用意に本人が姉に遺言を書くように勧めて姉が拒否するかもしれません。

 姉が遺言を書かないまま死亡すると、通常は姉を被相続人とする相続が開始されてしまいます。
このような申し上げ方は甚だ不謹慎ではありますが、それを承知の上で申し上げると、「時間との闘い」ということになります。



神山和幸行政書士事務所
和歌山県行政書士会所属
電話(073-460-5478)
2021-02-15 17:19:00

登記上の面積と課税面積が異なる場合の取扱い


相続手続の一つである不動産(土地)の名義変更の際に登録免許税を計算します。

登録免許税の計算で欠かせないのが、評価額です。固定資産税評価証明書あるいは固定資産税納税通知書等により、固定資産税評価額をもとに計算します。

ただ、登記上の面積と課税面積が異なる場合はもう一つ計算が必要となります。

 

①固定資産評価単価の計算

 例えば、固定資産税評価額が1,000,000、台帳面積(登記上の面積)が900㎡、課税面積が800㎡である場合、台帳面積と課税面積が異なりますので、この場合はまず固定資産評価額の単価を求めます。

 

1,000,000(評価額)÷800(課税面積)=  @1250(単価)

 

②単価を台帳面積でかける。

1250×900=1,125,000

これが登記上の面積による固定資産税評価額となります。これに4/1000をかけます。

1,125,000÷1000×4=4500

 

なお、計算した課税額については、1000円未満は切り捨てです。

また、「市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち,不動産の価額が10万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置」の適用を受けることができる場合は、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」の旨の記載が必要です。




神山和幸行政書士事務所(073-460-5478)

和歌山県和歌山市
相続・遺言
2020-12-25 16:33:00

「特別の寄与」制度について


 

民法第1050条 

1.被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

2.前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。

3.前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

4.特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

5.相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

 

 
 今回の改正により、相続人以外の者(一定の要件)で被相続人の生前に療養看護や労務の提供など特別の寄与をした方についても、一定の範囲の元、相続人に対してその貢献に応じた額の金銭の支払いを請求することができるようになりました

 

 ただし、これには要件があります。

①被相続人の親族に限定

 具体的には例えば介護や看護など、例えば生前に親身になって世話をしてくれた子の配偶者など、被相続人の親族が特別寄与者に該当します。親族とは「被相続人の六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族」と規定されています。

 

②期限がある

 相続人との話し合いがスムーズに行かない場合には、家庭裁判所の審判で特別寄与料を決めてもらうことができます。しかし、審判を申し立てるには、「相続の開始および相続人を知ったときから6か月以内」または「相続開始のときから1年」という期限があります。

特別の寄与について、話し合いが進まないと思ったらすぐに審判申し立ての準備を始めないと間に合わない場合が多いのです。

 

③相続人が数人いるとき

 改正民法では、相続人が複数いるときでも、相続人全員に請求しなければ、特別寄与料全額を受け取ることはできません。ただし、全員がその請求に応じなければ一切受け取れないというわけではありません。

 

 このように、一見していい制度のように見えても、その手続は数々の難関が待ち受けています。またこの他に「遺産分割協議には参加できない」「家庭裁判所の審判には、寄与した事実を立証しなければならない」などのハードルも存在します。

 できれば、遺言などにより、生前に財産を分与する意思を表示してもらうのが無難ではあります。


神山和幸行政書士事務所(073-460-5478)
和歌山県和歌山市
相続・遺言

2020-10-10 16:00:00

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