旅館業法改正について
旅館業法の一部を改正する法律が平成29年12月8日に成立し、平成29年12月15日に公布されました。
主な改正点は以下の通りです。
1.ホテル営業及び旅館営業を「旅館ホテル営業」に統合。
2.違法な民泊サービスへの規制強化
①無許可営業者に対する都道府県知事等による報告徴収及び立入検査等の権限規定の措置を講ずる。
② 無許可営業者等に対する罰金の上限額を3万円から100万円に、その他旅館業法に違反した者に対する罰金の上限額を2万円から50万円に引き上げる。
3.その他所要の措置・・・旅館業の欠格要件に暴力団排除規定等を追加
なお、施行期日は公布の日から起算して一年を超えない範囲で政令で定められる予定です。
旅館業
ここ数年で注目を集めているゲストハウス。古民家などの空き物件をリノベーションして、ユニークなゲストハウスをやってみようとお考えの方も多いと思います。
ゲストハウスを開店するにも、旅館業の開業許可が必要となります。
ここでは旅館業法に定められている許可申請について概説します。
1.旅館業法の定義
旅館業法では、以下に掲げた施設に宿泊(寝具を使用して以下の施設を利用すること)させる、いわゆる「旅館業を営む」ために許可が必要であると定めています。
(旅館施設の定義)
①ホテル営業・・・洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
・客室10室以上 ・9㎡以上/室 ・洋式浴室又はシャワー室+洗面設備+暖房の設備+水洗洋式トイレ等の設備 ・その他条例等の諸要件
施設例:観光ホテル、ビジネスホテル、コンドミニアム、モーテル、ウィークリーマンション
②旅館営業・・・和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
・客室5室以上 ・7㎡以上/和室(洋室は①に準じる) ・入浴施設/遊興施設の要件・その他条例等の諸要件
施設例:駅前旅館、温泉旅館、観光旅館、割烹旅館
③簡易宿所営業・・・宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。
・延床面積33㎡ ・その他条例等の諸要件
施設例:民宿、ペンション、山小屋、ユースホステル、カプセルホテル、ゲストハウス、バンガロー、キャンプ場の常設テント
④下宿営業・・・施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう。
・条例等の諸要件
2.旅館業法の「旅館」とみなされる施設
厚生労働省によると、旅館業か否かについて以下のような判断例があります。
3.許可要件
旅館業の許可申請は都道府県、あるいは保健所を設置する市及び特別区に対して行います。
申請については、以下の条件に適合している場合に限り許可されます。
4.設備基準
旅館の設備基準にも適合していないと許可されません。
(設備基準) ※赤字は和歌山県による基準
区分 |
ホテル営業 |
旅館営業 |
簡易宿所営業 |
下宿営業 |
客 室 |
数 |
10室以上
洋式の構造設備による客室数が総客室数の2分の1以上であること。
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5室以上 |
延床面積33㎡以上 宿泊床面積:2.4㎡以上/人 |
客室の総床面積は、20平方メートル以上 宿泊床面積:4.9㎡以上/人 |
洋室の場合 |
1室の床面積:9㎡以上 宿泊床面積:4.5㎡以上/人 寝具は洋式 出入口・窓に鍵 客室間、廊下等との境は壁(出入口・窓を除く) |
他の客室、廊下等と壁、板戸、ふすま等で区画、自由に出入りすることのできる玄関及び廊下 |
和室の場合 |
1室の床面積:7㎡以上 宿泊床面積:3.3㎡以上/人 他の客室、廊下等と壁、板戸、ふすま等で区画 |
他の客室、廊下等と壁、板戸、ふすま等で区画、自由に出入りすることのできる玄関及び廊下 |
玄関帳場 |
適当な広さのフロント・ロビー |
適当な広さの玄関帳場及び玄関広間 |
― |
― |
換気、採光照明、防湿、排水 |
①常に清潔にすること②防虫、防鼠の設備をし、防虫、防鼠の措置を講ずること③寝具及び丹前等は常に清潔にし、浴衣、敷布、包布及び枕おおいは清潔なものを客1人ごとに取り替えること
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入浴設備 |
適当な数の洋式浴室又はシャワー室 |
適当な規模の設備 (近接して公衆浴場がある場合等を除く) |
水質の管理・検査・清掃・消毒など |
洗面設備 |
適当な規模の設備 |
暖房設備 |
規模に応じた設備 |
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便所 |
水洗式かつ座便式 共同用のものは男女の区分 |
適当な数 |
便所は、客用と自家用とに区分し、防臭設備をし、かつ、流水式手洗を備えること |
設置場所 |
学校等の周囲約100mの区域内にある場合、客室・遊技設備等の内部を見通すことを防ぐ設備 |
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※ただし、一定の施設については特例あり。
5.旅館業開業の手続の流れ
6.許可申請書類
許可申請には、申請書の他、以下のような添付書類が必要です。
7.費用
旅館施設の内容・規模、調査・事前協議、付随する申請内容の有無やその内容により上下します。旅館施設の開業を検討されている方は事前に当事務所にご相談ください。旅館業許可に関する相談・調査・書類作成・事前協議・提出のみならず、他法令に基づく手続きについても包括して行うことができますので、速やかな営業ができます。