建設業に関わる法令の解説。神山和幸行政書士事務所

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建設業許可申請における「経営業務の管理責任者」要件の緩和(改正)について


平成29年6月1日に施行予定であった「建設業法第七条第一号イに掲げる者と同等以上の能力を有する者を定める件及び建設業許可事務ガイドラインの改正」が延期されました。
今回の改正の目玉は、「他業種経験等の「7年」が「6年」に短縮」されることです。
その他、経営業務の管理責任者の経験の拡大など、建設業許可を取得する上で、重要な要件である経営業務の管理責任者要件が緩和されることは大きな意義があるものと思います。一日も早い施行が望まれます。

今回の改正については以下の通りです。
① 経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって資金調達、技術者等配置、契約締 結等の業務全般に従事した経験(補佐経験)の一部拡大
 経営業務管理責任者要件として認められる経験のひとつとして「経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって資金調達、技術者等配置、契約締結等の業務全般に従事した経験(補佐経験)」が位置付けられており、この「準ずる地位」については、現在「業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にある者(法人の場合)が位置付けられているところ。この点 組合理事、支店長、営業所長又は支配人に次ぐ職制上の地位にある者」における経験も補佐経験として認めることとする。
② 他業種における執行役員経験の追加
 経営業務管理責任者要件として認められる経験のひとつとして「経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として建設業の経営業務を総合 的に管理した経験」が位置付けられている。この点、現在は「許可を受けようとする建設業に関する経験に限られているところ、「許可を受けようとする建設業以外の建設業に関する経験」についても認めることとする。
③ 3種類以上の合算評価の実施
 経営業務管理責任者要件として認められる経験(現行4種類)については、現在一部種類について2種類までの合算評価が可能とされているところ。この点 全ての種類に拡大するとともに、経験の種類の数の限定を設けず合算評価することを可能とする。
④ 他業種経験等の「7年」を「6年」に短縮
 経営業務管理責任者要件として認められる経験のうち 「許可を受けようとする建設業以外の建設業に関する経営業務の管理責任者」としての経験については 現在7年以上要することとしているが、これを6年に短縮することとする。あわせて、①及び②の「経験及び経営業務を補佐した経験」についても、同様に6年とする。

こちらでは、さらに詳しく解説しております。

なお、①②いずれも、それぞれ「6年以上」の経験が必要であることに注意してください。
2017-06-01 20:45:49

「国交省/社保加入、自治体工事も対策徹底/法定福利費未計上の団体名を公表へ」


この政策の旗振りとなっていた、社会保険未加入対策推進協議会は、その名称を「建設業社会保険推進連絡協議会」と改め、8日に第1回会合を開催、5年間の成果の取りまとめと2017年度(今年度)の社保加入促進に関して、追加的対策を含めた取り組みの方針を打ち出しました。
 今年度の主な追加的な取り組み方針は、次の通り。
 ①未加入企業への対策の強化
 ・建設業許可部局と社会保険等部局との連携の強化
 ・経審審査における未加入企業に対する減点効果の強化
  →企業評価WGで検討中
 ②地方公共団体の発注工事における対策の徹底
 ・未加入企業排除策の推進
  →都道府県・政令市での対策徹底と市町村に対する普及・浸透
 ・積算段階での法定福利費計上の状況をフォローアップ調査
  →法定福利費(事業主負担分)を未計上の自治体名公表
 ・公共標準約款において下請けを社保加入企業に限定する旨を明記
  →今夏の中建審での審議を予定
 ③民間発注工事における対策
 ・標準約款において請負代金内訳書の明示項目に法定福利費を追加
  →今夏の中建審での審議を予定
 ④地域における社保・労働環境に関する優良な取り組みの推進
 ・都道府県単位で「社会保険加入推進会議」を設置
  →各地域で元下双方が守るべきルールを行動基準の作成
  →労働者の処遇改善・人材育成・社保加入に関して
   経審での加点を企業評価WGで検討中
 ⑤周知・啓発等の充実
 ・社会保険に関する相談窓口などの充実
 上記①と④の内容の一部は、建設産業政策会議・企業評価WGにおいて既に議論されており、国交省の様々な会合で議題が連動しているということが分かります。 
 今回、会議の名称が「未加入対策」から「社会保険推進」となり、社保加入促進策のターゲットが国・都道府県レベルから市町村や民間工事にも広がってきたと言えるでしょう。
 ただ、業界団体からは、契約約款の整備やこれまでの成果を評価する一方で、地方の小規模事業者に対する経営的影響を懸念する意見もあるようです。
 「社保推進」をスムーズに進めるには、社保加入原資の確保と下請への法定福利費の確実な流れ込みが重要となるでしょう。

・詳しくはこちら↓
 (日刊建設工業新聞より)
2017-05-10 19:49:49

労働安全衛生法改正情報


「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が第186回国会で成立し、平成26年6月25日に公布されました。 建設業者様にも、かなり関連がある法律ですので、改正内容をご理解いただき、適切な対応をお願いいたします。 改正法では、化学物質が原因で胆管がんを発症したり、精神障害による労災認定件数が増えていることなど、 最近の労働災害の状況を踏まえ、労働者の安全と健康を確保し、労働災害を未然に防ぐ仕組みを規定しています。

<改正法のポイント>
1.化学物質について、リスクアセスメントの実施が義務に
  (平成28年6月までに施行予定)
 特別規則の対象となっていない化学物質のうち、一定のリスクがあるものについては、事業者にリスクアセスメント(危険性や有害性などの調査)を義務付ける。

2.ストレスチェックの実施等が義務に
  (平成27年12月までに施行予定)      
 医師、保健師などによる、ストレスチェック(労働者の心理的な負担の程度を把握する検査)の実施を事業者に義務付ける。(従業員 50 人未満の事業場については当分の間は努力義務)
 事業者は、ストレスチェックを受けた労働者の希望に応じて、医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、適切な就業上の措置を講じなければならない。

3.受動喫煙防止措置が努力義務に
 (平成27年6月までに施行予定)     
 受動喫煙防止のため、事業者・事業場の実情に応じて、適切な措置を講ずることを努力義務とする。

4.重大な労働災害を繰り返す企業に対し、大臣が指示、勧告、公表を行う制度の導入  
(平成27年6月までに施行予定)

 重大な労働災害を繰り返す企業に対しては、厚生労働大臣が改善計画を作成させ、改善させる仕組みを創設する。
 計画作成指示や変更指示などに従わない場合は、厚生労働大臣が勧告を行う。それにも従わない企業については、企業名を公表する。

5.外国に立地する検査機関などへの対応
  (平成27年6月までに施行予定)    
 ボイラーなど特に危険性が高い機械を製造する際などに受けなければならない検査などを行う機関のうち、外国に立地する企業・機関についても、検査・検定機関として登録できるようにする。
6.規制・届出の見直しなど
 (平成26年12月までに施行予定)  
 ・建設物や機械などの新設・移転などを行う場合の事前届出を廃止する。
 ・電動ファン付き呼吸用保護具を型式検定・譲渡制限の対象に追加する。

(平成29年3月追記・改正情報)
7.産業医の選任に関する改正
 (平成29年4月1日施行)
 法人の代表者などが、自らの事業場の産業医を兼任することが禁止されました。
 具体的には、個人事業主や法人の代表者のみならず、事業場の統括管理者を産業医に選任することができません。
2017-03-31 12:37:46

主任技術者等になれる受験チャンスが拡大! ~土木・建築の技術検定で2級学科試験の年2回化が始まります~


国土交通省は、29年度より、2級土木施工管理技術検定(種別「土木」)と2級建築施工管理技術検定(種別「建築」)の学科試験をこれまでの年1回から年2回の実施に変更することとし、技術検定の受験機会を拡大します。
 
 国土交通省は、建設工事の施工技術の向上を図るため、建設業法に基づき技術検定を行っています。この技術検定合格者は、建設業者が建設工事を行う際に設置が必要となる主任技術者等になることができます。
 近年、若年層の入職者が大幅に減少し、離職率も高いことから、担い手確保の必要性が高まっている中、技術検定の受検者数も減少し、合格者の高齢化が進んできています。
【2級土木(学科)合格者の平均年齢:28.2歳 (13年度)→32.8歳 (27年度)】

 こうした現状を踏まえ、先般、中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会の中間とりまとめにおいて提言があり、「土木」、「建築」について、学科試験の年2回化を先行的に実施することとなりました。


この記事について、詳細はこちら(国土交通省報道発表資料)

2017-03-08 12:26:29

国交省/「解体工事」許可、1万者が取得/新設から7カ月、とび・土工と兼業が45%


(平成29年2月23日)
 新たな建設業許可業種区分として16年6月に申請受け付けを始めた「解体工事」の許可取得業者数が、12月末時点(7カ月間)で1万0217業者あることが国土交通省の調査で分かった。このうち9割を、とび・土工、土木一式、建築一式いずれかの許可を保有する業者が占めた。同省は許可更新期に解体工事を申請する業者が多いと見ており、今後も動向を注視していく。
 14年5月に成立した改正建設業法のうち、新たな許可業種区分に解体工事を加える規定が16年6月に施行された。とび・土工工事業から解体を独立させて29番目の業種区分とした。3年間は、とび・土工の許可で引き続き解体工事を営むことができる経過措置を設け、さらに2年後の21年3月末までは、とび・土工に対応した既存技術者を主任技術者として認める。  
 16年6月1日に解体工事業の許可申請の受け付けを開始した。数カ月かかるとされる許可の取得後、解体工事に対応した経営事項審査(経審)の受審が可能となる。
 12月末時点の解体許可業者数(1万0217業者)の内訳は、とび・土工の許可業者が4661業者(45・6%)、とび・土工の許可を保有しない総合2業種(土木一式または建築一式)の許可業者が4492業者(44・0%)、専門工事(管工事や電気工事など)の許可業者が984業者(9・6%)、専業が80業者(0・8%)だった。
 許可区分で見ると、大臣一般が60業者(0・6%)、大臣特定が261業者(2・6%)、知事一般が6500業者(63・6%)、知事特定が3396業者(33・2%)。知事許可業者が95%以上を占めている。
 資本金階層別に見ると、とび・土工では2割程度を占めている「資本金2000万円以上5000万円未満の法人」が、解体工事では約4割となった。
 エリア別では関東圏、中部圏、近畿圏の都市部で許可の保有業者が多い傾向が見られる。
2017-02-23 09:27:31

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