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相続税について

相続税について

「相続」が「争族」にならないよう、また相続が負担の重いものとならないようにするためには、ご家族皆さんで準備を進める必要があります。ここでは相続税について、その概略をご紹介します。


1.相続税納税義務者

相続税を納税しなければならない者は次の条件にあてはまる方です。
A.相続または遺贈により財産を取得した時に日本国内に住所を有している者 
B.日本国内に住所を有しないが日本国籍を有している者で、その者かその被相続人が相続開始前5年以内に日本国内に住所を有したことのある場合
以上のA.B.にあてはまる方はその相続または遺贈を受けた財産すべてが相続税の対象となります。

C.相続または遺贈により財産を取得した時に日本国内に住所を有せず、日本国籍も有しない者
D.日本国籍を有しているが、相続開始前5年を超える期間日本国内に住所を有していない場合、その被相続人も同様に5年を超える期間日本国内に住所を有していない場合
以上のC.D.にあてはまる方は、日本国内にある財産に対してのみ相続税の納税義務を負います。

2.相続税の申告期限

相続税の申告書の提出期限は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。なお、相続の開始は自己のために相続の開始があったことを知った日です。


3.提出先

相続税申告書は、被相続人の死亡時における納税地の所轄税務署長に対して提出します。


4.相続税の課税価格の計算方法

相続税は遺産総額に対して、法定相続人が法定相続分通りに財産を取得したと仮定し、その相続税の総額を算出したあと、それを各取得財産額に応じて按分して計算を行います

A.課税価格の計算  各人の課税価格を合算したものを総課税価格とみなします。
 各相続人の課税価格は、相続(または遺贈)財産とみなし相続財産の合計から非課税財産と債務控除額を引き、被相続人からの3年以内に贈与された財産を加えて算出します。なお、相続時精算課税制度を選択した相続人が生前贈与により被相続人から取得した財産は相続財産と合算されます。

※みなし相続財産・・・民法では相続財産に該当しない財産でも、相続税の課税財産があります。これも「みなし相続財産」といいます。該当する財産は、
①死亡保険金(生命保険金・損害保険金)
②死亡退職金、功労金、弔慰金(一定額を除く)
③生命保険契約に関する権利
④定期金に関する権利(個人年金など)
⑤遺言によって受けた利益(借金の免除など)
⑥特別縁故者への分与財産
⑦低額譲受けによる利益
 難しい言葉が並びますが、簡単に言い換えれば、相続により相続人が得た財産全般について、相続税法上は相続財産と同じであると判断されるということです。また、
①相続開始前3年以内に取得した贈与財産(特例あり)。
②相続税精算課税制度を選択した者が生前贈与を受けた財産
 は、相続税の計算に加える財産となります。


※非課税財産・・・生命保険金等はその限度により非課税財産になることがあります。非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です。また、①墓地などの祭祀承継財産②葬式費用等③被相続人の債務承継額なども、基本的に非課税財産になります。

※相続時精算課税制度・・・ここでは簡単に解説します。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなったときにその贈与財産の贈与時の価格と相続財産の価格とを合計した金額をもとに計算した相続税額から、すでに納めたその贈与税相当額を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税を行うという制度です。この解説の詳細は後述します。

各相続人の課税価格をすべて足した合計額から、基礎控除額を引いたものが課税遺産総額となります。

B.基礎控除額の計算 基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」となります。なお、養子がいた場合、法定相続人の数に加えるのには制限があり、実子がいる場合は一人、実子がない場合は二人まで加えることが可能です(後述)。
基礎控除額を計算して、課税遺産総額を超えている場合は、申告の必要はありません。

C.相続税の総額の計算 課税遺産総額を法定相続通りに相続したと仮定して、各相続人ごとの取得金額を計算します。例えば、相続人が子2人、配偶者1人とすると、配偶者は「課税価格の合計額×1/2」で、子は1人あたり「課税価格の合計額×1/4」で求められます。
そして、その式で算出された額に基づき、税額「各取得金額×税率」を計算します。

(相続税の速算表)
相続税を計算するための速算表 神山和幸行政書士事務所

D.各相続人ごとの納付すべき相続税の計算 C.で算出された総額を、今度は実際の相続額に応じて案分し、各相続税を計算します。このとき、各相続人ごとに該当する2割の加算額や配偶者の相続税の軽減措置、未成年者控除、障碍者控除、贈与税額控除などを各相続人ごとの相続税から差し引きます。


5.未成年の税額控除

未成年が相続人である場合、未成年が成人に達するまでの養育費や教育費を考慮し、一定の控除があります。
A.未成年者控除を受ける条件
未成年者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人
 又は、日本国内に住所がない人でも、その人が、日本国籍を有していて、その人又は被相続人が、相続開始前5年以内に日本国内に住所を有したことがある。
②相続や遺贈で財産を取得したときに20歳未満である人
③相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
B.未成年者控除の額
 未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき6万円で計算した額です。また、年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。
例えば、その未成年者が15歳9か月の人ですと20歳になるまでは4年3か月あります。3か月を1年に切り上げますので、控除額を計算する年数は5年になります。したがって、控除額は6万円×5年で30万円となります。
 なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引ききれないことがあります。この場合は、その引ききれない部分の金額をその未成年者の扶養義務者(配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者)の相続税額から差し引きます。
 なお、その未成年者が今回の相続以前にも未成年者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります。