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倉庫業登録について

トランクルーム

倉庫業を営むためには、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。



(1)倉庫業とは

倉庫業とは、他人の寄託を受けてその物品を保管することを業とするものです。ただし、以下の場合には登録を要しません。

①一時預かり(コインロッカー、駐車場など)
②銀行の貸金庫等
③寄託契約が存在しないもの(運送契約に基づく配送センター等への仮置き・荷捌きのための物品の保管)
④自己の物品の保管行為(自家倉庫)

 倉庫業法上の登録を要するには、上記以外のものが該当します。以下のような例です。
①一般消費者等の寄託を受けて、日用品や家財道具等を保管する倉庫(トランクルーム)。
②業者の寄託を受けて、農業用資材・飼料・収穫物・冷凍食品等を保管する倉庫。
③業者の寄託を受けて、製造品、原材料などを保管する倉庫。
④業者の寄託を受けて、高圧ガス、燃料などを保管する倉庫。

これらの倉庫は、1類、2類、3類、野積、貯蔵層、危険品、冷蔵、水面倉庫に区分され、保管する物品も第1類~第8類に分けられ、それぞれの倉庫種類と保管できる物品が定められています。そのうえで、建築基準法、消防法、食品衛生法、高圧ガス保安法、液化石油ガス保安法、石油コンビナート等災害防止法といった法律の規制が適用されます。

(A)普通倉庫業
農業、鉱業(金属、原油・天然ガス等)、製造業(食品、繊維、化学工業、紙・パルプ、機械等)といった幅広い産業の様々な貨物に加え、消費者の財産(家財、美術品、骨董品等)も保管します。
法律上の分類による一類、二類、三類、野積、貯蔵そう、危険品倉庫(何れも下記参照)を総称して、普通倉庫と呼んでいます。

①1~3類倉庫
 通常皆さんが目にする建屋型の倉庫です。設備・構造基準により1類、2類、3類の3つのグレードに分かれます。
 1類倉庫は一番ハイグレードな倉庫で、いろいろな貨物が保管されています。しかし、冷蔵倉庫、危険品倉庫での保管が義務づけられている物品は保管できません。トランクルームについてもこの1類倉庫と同様の施設基準を満たしていなければなりません。
 2類倉庫は防火、耐火性能が不要なため、1類倉庫に比べ保管可能な品物が制限されます。
 3類倉庫は、防火、耐火性能に加え、防湿性能も不要です。このことから、燃えにくく、湿気にも強い貨物が保管されます。
②野積倉庫
 法律上の4類物品(鉱物、木材、自動車などのうち、雨風にさらされても良いもの)を保管する倉庫です。形状は柵や塀で囲まれた区画になります。
③貯蔵槽倉庫
 法律上の6類物品(袋や容器に入っていない小麦、大麦、トウモロコシなどのバラ状の貨物、糖蜜などの液状貨物)を保管する倉庫です。いわゆるサイロやタンクと呼ばれるものになります。
④危険品倉庫
 法律上の7類物品(消防法が指定する危険物や高圧ガスなど)を保管する倉庫です。
 保管する物品の種類によって、「消防法」、「高圧ガス保安法」、「液化石油ガスの確保及び取引の適正化に関する法律」など、関係法の規定を満たしている必要があります。

(B)冷蔵倉庫業
8類物品(食肉、水産物、冷凍食品など10℃以下で保管することが適切な貨物)を保管します。

(C)水面倉庫業
5類物品(原木等)を水面で保管します。

※営業倉庫の種類と対応する保管物品
倉庫の種類と保管できるもの分類表

(2)営業倉庫の施設設備基準

営業倉庫には、上記区分に応じて、設備基準が設けられています。ここでご説明する基準を満たしていることを証明する書類を、登録申請時に添付していくことになります。下記の図の通りです。
営業倉庫の施設設備基準

(3)倉庫業登録のための要件

①建築基準法、都市計画法上の要件
地域によっては、「倉庫業を営む倉庫」とは認められないところがあります。
次にような例です。
ア.準住居地域を除く住居地域(都市計画法上における用途地域)
イ.開発行為許可を有しない市街化調整区域
すなわち、「建築基準法」・「都市計画法」をクリアしていない物件にて『倉庫業』を営むことはできません。
建物を購入・建築する前に、その地域が倉庫業を営むことができるかどうかを確認する必要があります。
 
②欠格要件
申請者が欠格要件に該当していないことが必要です。
ア.申請者が一年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者であるとき。(法人の場合その役員について同じ)
イ.申請者が登録の取り消しを受け、その取り消しの日から2年を経過しない者であるとき。(法人の場合その役員について同じ)

③人的要件

所定の要件に該当する者のなかから『倉庫管理主任者』を選任しなければなりません。原則として倉庫ごとに一人設置しなければなりません。

④施設設置基準
(2)営業倉庫の施設設備基準の表の通り、営業倉庫の種類によりそれぞれに該当する基準の適合が求められることとなりますが、建築物検査済証がない場合は登録はできないものとお考え下さい。
営業倉庫の施設設備基準には、例えば、火災防止の関係では耐火性能や防火性能を有すること(建築基準法では一定の条件の建物にしか義務付けない。)や消火器具を有すること(消防法では床面積150㎡以上の建物にしか義務付けない。)などといった基準あります。
これらの基準は、他人の貴重な物品を預かる営業倉庫という観点から、建物の構造設備を規制する一般法である建築基準法、消防法等の基準に比べて、特に高いものとなっております。