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労使協定

労使協定とは

労働基準法では、様々な制限があります。それによって労働者の権利が守られているのですが、業種・業態によっては制限されることにより事業の維持・運営・成長が阻まれてします結果となってしまいます。そこで、労使間において話し合い、そのような制限を緩和し、または適用しないようにすることができます。それが「労使協定」です。
 労使協定とは、使用者と労働者が締結するという点では労働契約等と同じですが、労使協定にはもう一つの意味が「免罰効果」です。労使協定では免罰効果のみ発生させるものですので、協定締結後、個々の労働者に協定の内容を適用させるためには、就業規則等での定めが必要となります。


労使協定の内容

 大きく分けて、「労働時間」「年次有給休暇」「その他(任意の貯金管理・賃金全額払いの例外)」の3つに分けられます。

1.労働時間
 代表的なものとしては、36協定があります。本来禁止されている時間外・休日労働を認める協定が「36協定」です。このように、労使協定を条件として、労働時間、休憩時間等の例外が容認されます。

 ※印は行政官庁(労働基準監督署)に届け出ねばならないもの。
①1ヶ月単位の変形労働時間制※
②1年単位の変形労働時間制※
③1週間単位の非定型的変形労働時間制※
④フレックスタイム制
⑤休憩の一斉付与の例外
⑥36協定※
⑦事業場外労働のみなし労働時間制※
⑧専門業務型裁量労働制※
⑨育児休業及び介護休業が出来ない者の範囲

⑩介護休暇適用除外者
⑪継続雇用制度

2.年次有給休暇
 年次有給休暇は原則として労働者の求める時季に、一日を単位として与えねばなりません。
 ただし、労使協定により、年次有給休暇を与える時季を指定し、時間単位で与えることが可能となります。ただし、年次有給休暇日すべてを指定したり時間単位にしたりすることはできず、その他の制限があります。
 
3.その他
 労働契約に附随して貯蓄を強制することは禁止されています。しかし、労使協定により、労働者の委託を受けて、任意に貯金を管理することができます。また、労使協定により、賃金より法定控除以外のものについて控除することができます(ただし一定のものに限る)。


労使協定の締結当事者

 労使協定は、会社と労働者側の代表と書面で締結することになります。
 労使協定の労働者側の代表(締結当事者)は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者となります。この労働者の代表者は管理監督者でないこと及び投票・挙手等で選出されることが条件となります。ただし、労働者の代表者を選ぶ労働者には管理監督者等は含まれることに注意して下さい。
 なお、使用者はこの過半数代表者であること等で不利益な取り扱いをしてはいけません。