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後見人等の就任要件

後見人等の就任要件

法律で定められている、「後見人等になれない」方は以下の通りです。

ア.未成年者
イ.家庭裁判所で成年後見人等を解任された人
ウ.破産者
エ.本人に対して訴訟をし、またはした人。その配偶者、直系血族

利益相反になる場合の後見人等 本来、後見人等はご本人に不利益にならないように後見等事務を行わなければなりません。しかし、施設職員等が後見人となった場合、施設の利益に基づいて後見等事務を行う恐れがあります。
このように、本来後見人等が自己や第3者の利益を図り、結果としてご本人の利益を損なうような行為を「利益相反行為」といいます。具体的にいえば、ア.施設入居契約や介護契約を締結する場合 イ.ケアプランを作成する場合、などが考えられます。契約内容やケアプランをご本人ではなく、施設側にとって有利な条件で行うことにより、ご本人が高額な契約金を支払うことになったり、不便な思いをすることになっても、判断能力の乏しいのではその事実を知ることさえもできません。
 
 成年後見人等とご本人(被後見人等)の間で利益相反行為があったときは、後見監督人がいる場合を除いて、後見人等は特別代理人(臨時保佐人、臨時補助人)を選任する請求を家庭裁判所にしなければならず、その行為について代理等をすることができません(保佐・補助の場合、同意することもできません)。もっとも、施設職員が後見人等になれば、利益相反行為が頻繁に起こることが予想されるので、後見人等には相応しくない、ということになります。
施設職員に該当する人は、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームに勤務する職員のことで、ソーシャルワーカー、ヘルパー2級、看護師等の仕事を行う職員が該当します。また、法人も後見人等になることが可能ですが、上記施設を営む法人の場合にも、ご本人と利益相反する恐れがあるため、後見事務を全うできなくなるおそれがあります。また、介護支援専門員も該当するでしょう。

親族が後見人等になった場合の利益相反行為 利益相反行為は、親族が後見人等になった場合にも、起こり得ます。事例としては以下の通りです。

ア.後見人等の借金のために、ご本人所有の不動産に担保物権を設定すること。 後見人等に就任した親族の一人が、ご本人所有の不動産に抵当をつけたり、質権設定したり、また保証人にしたりすることは、本人の不利益になります。
イ.後見人等の財産をご本人に有償で譲渡(売却・負担付き譲渡など)する行為
 例えば、後見人が所有する不動産を、ご本人に売却するなどの行為は、売り手が買い手の代理人と同一人物ということになります。
ウ.相続推定人が相続財産を減少させないように図る行為
 例えば、介護施設に入居させることがご本人の生活上欠かせない状況なのに、その施設費用を節約させる目的で入居を先送りにし、相続財産を減少させないように図るという行為は、相続推定人である親族が後見人等であった場合、利益相反行為にあたる可能性があります。
 枚挙に暇がありませんが、親族である後見人等が利益相反行為を知らぬ間に行っているというケースが増えています。しかも、悪意のまったくない行為であっても、それが結果としてご本人の不利益になっているという場合もあります。職業後見人であればまずこのような心配はありません。
 しかし、先ほどの施設職員等との場合もそうであるように、親族と成年後見人等との関係も、ご本人を支えていく上で、非常に重要です。成年後見人等がしっかりとした法知識と見識を持ち、調整を図っていきながら、親族の皆様と両輪の関係を保って後見事務を行うように努力していかなければならないでしょう。