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解雇制限

解雇とは?

退職と一口に言ってもその理由は様々。定年退職、依願退職、契約社員の契約期間満了、そして「解雇」。
 労働基準法では、この「解雇」について、厳しい制限が設けられております。
 解雇は、事業主(労働基準法では使用者)が一方的に、労働契約を将来に向かって解約することです。
 事業者が働きの悪い労働者を選別して、クビを宣告する・・・それは事業主の自由ではないか!とはいきません。労働者にとって重大な不利益、生活がかかっているわけですから。

「解雇」と一口に言ってもいくつかの種類があります。

普通解雇・・・勤務態度が非常に悪い、勤務成績が悪い、労働能力等の欠如・喪失、規律違反行為があった、などという理由での解雇です。通常、解雇といえばこの普通解雇であることが多いと思います。

懲戒解雇・・・労働者が責任を取るべき理由での解雇です。具体的にどのようなことをすれば懲戒解雇になるのかについては、あらかじめ就業規則等に定めることが必要です。

整理解雇・・・事業主(法人・個人事業主)の経営不振による事業の縮小、人員削減等、いわゆる「リストラ」による解雇です。


解雇を行うには、「解雇予告」をしなければなりません。ただし、懲戒解雇については、行政官庁による認定を受けた場合には、即時解雇も可能です。


解雇の制限

以下の労働者は解雇できません。

1.業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する者・・・休業期間+30日間は解雇できない。
2.産前産後の女性・・・出産前後の休業期間(出産前6週間+産後8週間)+30日間は解雇できない。

ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合に、行政官庁の認定を受ければ、解雇することができます。また、上記1のケースで療養が3年続いた場合、打切補償(平均賃金の1200日分)を支払うか、労働者が現に労災保険の傷病補償年金を受けているのであれば、解雇が可能です。


解雇予告

解雇をするためには、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。それができない、というのであれば、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません(これらの併用も可能)。
もっとも、天災事変その他やむを得ないことがあり、事業の継続が不可能であるとか、労働者の責任によることが起こったための解雇である場合は、行政官庁の認定を受ければ解雇予告は不要です。

以下、注意していただきたい点を列挙します。

1.解雇をした後、それを取り消すには、労働者の同意が必要です。
2.解雇予告手当は、労働者が受け取りを拒否した場合でも、供託などの方法により労働者本人がいつでも受け取ることができる状態にしておく必要があります。
3、使用期間中の労働者を解雇する場合、雇用開始15日目から解雇予告が必要となります。


罰則

労働基準法では、解雇制限・解雇予告についての規定に違反した事業主等は6か月以下の懲役あるいは30万円以下の罰金に処される旨規定されています。