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介護タクシーの許可申請

1.介護タクシーとは

「介護タクシー」と呼ばれている事業は、「道路運送法」が規定している「一般乗用旅客自動車運送事業」に該当することになります。
 なお、すでに指定訪問介護事業を営む事業者は「特定乗用旅客自動車運送事業」を選択することができ、車両数、資産要件など様々な要件が緩和されます。

 ※ただし、この場合、乗っていただける方は介護事業の利用者に限られ、その運送範囲も限定されます。

 ここでは、主に「一般乗用旅客自動車運送事業」を便宜上「介護タクシー」と呼び、解説していきます。


2.要件

「介護タクシー」を開業するには、様々な厳しい要件があります。
 下記の表をご覧ください。

介護タクシーの要件 神山和幸行政書士事務所


まず、「一般乗用旅客自動車運送事業」か「特定乗用旅客自動車運送事業」でいくかを検討します。
 次に、自家用自動車を利用したい場合には、「自家用自動車有償運送」という特別な許可が別途必要です。いわゆる「ぶら下がり許可」と言われているものです。

  ※法令試験については、課されていない地域もあります。

①人的要件.A.運転手
   ・普通自動車第2種免許を取得していること 
 B.運行管理者、指導主任者
   ・保有車両が4台以下の場合は、資格がなくても可
   ・保有車両が5台以上の場合は、運行管理者の資格を有している方の配置が必要
   ・運行管理者と指導管理者の兼務は可能(兼務するのが一般的です)

 C.整備管理者
   ・保有車両が4台以下の場合は、資格がなくても可
   ・保有車両が5台以上の場合は、整備士等の資格を有している方の配置が必要
   ・整備管理者は、整備管理会社等への外部委託も可能

 D.対象となる旅客の範囲
   ・身体障害者福祉法に規定されている「身体障害者」
   ・介護保険法に規定されている「要介護者」及び「要支援者」
   ・上記以外の方で、肢体不自由、内部障害、知的障害及び精神障害その他の障害を有する等により単独での移動が困難で、タクシーなどの公共交通機関を利用することが困難な方
   ・上記の方の付添人


②車両 A.車両数は1営業所につき最低1台
 B.事業用自動車として一定の性能をそなえていること
 C.自動車の使用権限があること
 D.乗務員として、介護福祉士・訪問介護員などの資格者がいることが望ましい
 
③物的要件 A.営業所は3年以上の使用権原があること/適法な建物であること/適正な規模であること
 B.車庫についてもAと同様。ただし、併設の必要はない。
 C,休息や仮眠又は睡眠のための施設があること
 
④資金関係「所要資金の合計金額の50%以上」+「事業開始当初に要する資金の100%以上」の自己資金を申請時より常に確保。
 A.所要資金については、「営業所や車庫関係を設置する土地・建物にかかる費用」「車両にかかる費用」「運転資金(2か月分)」といった費用を算入。
 B.事業開始当初に要する資金については、「土地建物の一括購入・あるいは2か月分の賃料と敷金・礼金など」「車両の一括購入・あるいは2か月分の分割払い(リース料」。ただし、すでに購入している場合は算入しない。その他開業資金など。

⑤法令順守など 法人の場合、常勤役員が必要な法令知識を有している、社会保険や労働保険加入義務を怠っていない、定款の事業目的に申請する業種が記載されていなければなりません。



3.NPO法人、社会福祉法人等に対する特例措置

NPOなどの非営利法人による福祉移送サービスは、道路運送法に基づく「福祉有償運送又は過疎地有償運送の許可」を受ければ、全国どこでも白ナンバー車両で福祉移送サービスを行なうことが出来ます。要件は以下の通りとなります
① 運送事業を行なう主体がNPO、社会福祉法人などの非営利法人であること。
② 地方自治体が既存のタクシー事業者だけでは充分な福祉移送サービスが提供出来ないとして地域協議会を開催し、その協議を経ていること。
③ 使用車両は原則として福祉車両又は介護仕様車両に限定。 但し、構造改革特区の場合に限りセダン車両の使用が認められます。
④ 運転者は第二種自動車運転免許取得者が原則。ただし2年間無事故且つ免停処分無しのケア輸送サービス研修受講者であれば第一種自動車運転免許でも可能。


4.申請の大まかな流れ

申請は、営業所の所在地を管轄する運輸支局となります。
 事業の許可申請と運賃及び料金の認可申請を行うことになります。
 
① 許可申請書類の作成と提出・・・これには1~2か月前後の日数が必要となります。

② 法令試験の受験をし、合格・・・申請者(法人の場合は常勤役員のうちの1人)が、近畿運輸局にて実施される法令試験を受験します。法令試験は月1回しかありませんので、不合格の場合は、翌月に再受験する必要がございますので、ご注意を。法令試験に合格してから審査が開始されます。合格していただかないと、提出書類の審査が開始されません。

③ 車両関係の手続き・・・事業用自動車を登録し、関係する保険などの加入・変更手続を行ます。事業用車両の登録には、運輸支局の輸送担当者から「事業用自動車等連絡書」に押印してもらっておく必要があります。

④ 事業開始・・・運輸開始までに、以下のような手続を行います。
      ・適正診断及び健康診断の受診
      ・看板の取付け
      ・車両の表示(ステッカー等の準備)
      ・運送約款/運賃・料金表の備え付け
以上の手続・準備を完了後、運輸開始届出書を提出します。なお、事業開始は、許可取得後6カ月以内に行うこととされております。
※許可申請から許可が下りるまでの標準処理期間は概ね2か月です。



5.申請書類について

事業許可申請についての提出書類は以下の通りです。

①介護タクシー申請書

(別紙)
②事業計画書

③事業用自動車の運行管理などの体制を記載した書面

④所要資金及び事業開始に要する資金の内訳

⑤資金の調達方法を記載した書面

⑥事業用自動車の乗務員の休憩、仮眠または睡眠のための施設の概要を記載した書面
ア.施設(営業所・車庫・休憩仮眠施設等)の案内図・見取図・平面図(求積図)
イ.営業所・車庫・休憩仮眠施設の土地・建物不動産登記簿謄本(自己所有でない場合は、申請日より3年以上の使用権原を有する賃貸契約書の写し)
ウ.都市計画法等関係法令に抵触しない旨の宣誓書
エ.車庫前面道路の道路幅員証明書(前面道路が国道の場合は不要)
オ.写真(営業所内外・車庫・休憩仮眠施設・点検清掃施設・前面道路)
カ.車両見積書・タクシーメター見積書・任意保険見積書・車両カタログ
※すでに車両購入済みなら見積書に代わって車検証・カタログの代用とし車両の写真(前部・側部・後部)、リースの場合はリース契約書の写しが必要
・任意保険については、事業用車両として使用する場合の見積書。


⑦既存の法人にあっては次に掲げる書類
ア.定款または寄付行為と登記簿謄本
イ.最近の事業年度における貸借対照表
ウ.役員または社員の名簿及び履歴書
※定款の「事業目的」の変更の必要がある場合には、事前に済ませる。

⑧法人を設立しようとする者にあっては、次にかかげる書類。
ア.定款(認証を必要とする場合には、認証のある定款)または寄付行為の謄本
イ.発起人・社員または設立者の名簿及び履歴書
ウ.設立しようとする法人の株式の引き受けまたは出資の状況及び見込みを記載した書類

⑨個人にあっては、次にかかげる書類
ア.資産目録
イ.戸籍抄本
ウ.履歴書

⑩法律第7条(欠格事由)の各号のいずれにも該当しない旨を証する書類
⑪社会保険加入義務者が社会保険に加入する計画があることを証する書類


 なお、特定旅客自動車の場合、別途書類がさらに必要となります。