法定後見について
法定後見制度の類型
法定後見制度では、その判断能力の低下程度によって、3つの類型に分けられています。
それらは、認知症や知的障がい・精神障がいなどの症状の程度などに応じて分類されます。
どの分類にあたるのについては、医師による診断書・鑑定書等をもとに決められます。
法定後見制度には、 「後見」「保佐」「補助」という3つの類型があります。
なお、例えば「補助」の審判を受けた人が、その後「後見」「保佐」等の類型を利用する必要が出た場合も申立てによります。また、これらの後見等の必要がなくなった場合にも、審判取消の申立てを行います。
法定後見の流れ
1.事前に医師の診断書など申立てに必要な書類を用意し、準備後それらを家庭裁判所に提出します。
2.家庭裁判所の職員が、申立人・後見人等候補者・ご本人への事情や意思等の確認、ご本人の親族への賛否確認、ご本人の判断能力判定のための精神鑑定などを行います。
3.提出した書類・調査結果・鑑定結果等の内容を検討し、本人にとって後見等の開始が必要であると判断すれば、裁判所は後見の開始(後見人の選任を含む)の審判をします。
◎法定後見人等の報酬はご本人の財産の額・後見事務の内容などを総合的に考慮し、家庭裁判所による審判で決定します。
◎成年後見人は事実行為(介護・送迎・付き添いなど)や医療行為への同意、身元保証人等への就任はすることができません。
任意後見と法定後見の違い
さて、任意後見については、これら3つの類型のようなものは存在しません。
つまり、任意後見人にどのような代理権を付与するのかは、あくまで本人が契約の中で定めることになります。
法定後見の場合、後見人を本人の希望で選任することはできませんが、推薦することはできます。それに対して、任意後見契約では、後見候補者を本人が指名します。
、「任意後見人には取消権は付与されない」ということです。
つまり、例えば本人が後見人に無断で不動産を処分してしまった場合、この重要な法律行為を任意後見人は取消すことができないのが、任意後見の大きな欠点です。ただし、これは包括的な取消権ですので、任意後見契約をする時にしっかりと取消権についても決めておくことで解決できます。
「法定後見と任意後見の違い」まとめ
| 法定後見 | 任意後見 |
後見人等の決定 |
候補者の推薦により裁判所が決定 |
本人が決定 |
後見等の種類 |
「後見」「保佐」「補助」の3類型 |
なし |
後見人等の監督 |
家庭裁判所 |
任意後見監督人 |
後見人等の仕事 |
3類型によって異なる |
任意後見契約により決定 |
本人の法律行為の取り消し |
できる (ただし保佐・補助の場合審判が必要) |
できない (ただし、任意後見契約に盛り込むことで 取消権行使可能) |